2回目の自己破産は可能? 債務免責が認められるための条件とは
「以前に自己破産をしたけどもまた借金返済ができなくなってしまった」などの理由で2回目の自己破産を検討している方もいらっしゃるかもしれません。
結論から申し上げますと2回目以降も自己破産は可能ですが、一定期間は制限があります。
このページでは2回目の自己破産は可能なのか、自己破産をして債務免責が認められるための要件と一緒に確認しましょう。
1. 2回目の自己破産も可能だけども前の自己破産から7年経過している必要がある
冒頭に申し上げました通り、2回目以降の自己破産も可能ですが、前の自己破産から7年以上経過している必要があります。
1-1.自己破産手続きは破産法に規定されている手続き
まず、自己破産手続きとはどのような手続きなのか確認しましょう。
自己破産手続きは、債務整理の中の一つの手段で、資産を清算して債権者に配当をして、残った債務を免除してもらう手続きをいいます。
この手続きについては破産法に規定がされているので、2回目以降の自己破産が認められるかどうかは、破産法にどのような規定がされているかによります。
1-2.破産法における自己破産の条件
破産法においては自己破産をするためには次の2つの要件が必要とされています。
1-2-1.支払不能
本来、借金などの債務については、返済をする義務があります。
ですので、返済ができるような場合には、借金を免責する必要はありません。
そのため、破産法では「支払不能」となっていることが必要とされています。
支払不能については、破産法2条が規定をしており、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態…をいう。」とされています。
法律上の定義なので表現は難しいですが、要は借金の返済が継続的に難しくなっている状態をいいます。
特に、借金がいくら以上ある場合、というような定め方をしておらず、借金の額と収支のバランスによって決定されます。
借金が300万円あったとしても年収が200万円程度であれば返済不能といえますが、年収が1,000万円あれば、300万円の借金を返済することはできると判断することが可能です。
この要件に、破産が2度目であるかどうかは関係がありません。
1-2-2.免責不許可事由がないこと
もう一つの要件として、免責不許可事由がないことが必要です。
破産法252条は、免責の許可をしない免責不許可事由について定めています。
細かい項目が多数あるのですが、代表的なものとしては、ギャンブルや遊興などが原因で借金をしたような場合や、特定の債権者にのみ返済をする、偏頗弁済を行った場合が挙げられます。
この免責不許可事由の中に、免責許可の決定が確定した日から7年以内の免責許可の申し立てが含まれているため、前回の自己破産から7年以内の自己破産の申し立てはできないことになっています。
ただし、7年経過後にはこの規定は適用されず、252条に定められた免責不許可事由の中には、破産申し立てが2度目以降であることについては規定がされていません。
ですので、前回の自己破産から7年以内には破産申し立てはできませんが、2度目の自己破産は禁じられていないことになります。
1-2-3.その他破産法には2度目以降の自己破産を禁止する規定はない
支払不能および免責不許可事由についての規定以外にも、様々な規定が破産法におかれていますが、2度目以降の自己破産を禁止する規定はありません。
そのため、2度目以降の自己破産は禁止されていないといえます。
2.2度目の自己破産をするのはどういうとき?
2度目の自己破産をするのはどのようなときでしょうか。
2-1.ブラックリストの期間後に借り入れをした
一度目の自己破産手続きの利用を行うと、信用情報機関に自己破産をした旨の事故情報が記載されます(いわゆるブラックリスト)。
自己破産をした場合には7年~10年はこの情報が登録されているので、この期間は消費者金融や銀行などから借金はできません。
つまり、自己破産の免責不許可事由である7年以内については、基本的に貸金業者からお金を借りることができないのです。
そのため、二度目の自己破産が必要なケースでは、通常は免責不許可事由は問題とならず、そのまま自己破産手続きをすすめることができます。
2-2.個人やブラックリストでも貸付をする貸金業者から貸付を受けた
借り入れができないのが通常ですが、例えば知人や会社などから借り入れを行ったり、貸金業者の中にはブラックリストでも貸付を行う場合があります。
その返済ができなくなった場合には、7年以内でも返済ができなくなるようなケースがありますので、後述のように他の手段を検討しましょう。
2-3.闇金融からの借り入れについては返済義務がないので自己破産はしない
「返済ができない」という理由が闇金融からの借り入れの場合には、自己破産ではなく、弁護士に対応してもらう必要があります。
貸金業を営むには貸金業法所定の許可が必要で、貸金業法に規定されている取り立て規制を守り、貸し付け利率の上限についての利息制限法・出資法の規定を順守する必要があります。
貸金業法の登録をしない・取り立て規制に違反する・上限利率を超えた貸付をするのが闇金融です。
ブラックOK・自己破産していても貸し付けを行うなどと言葉巧みに誘い、時には脅迫めいた方法で違法な金利についての返済を迫るものです。
闇金融の利息について有名な表現である「トイチ」(10日で1割の略)は、年利365%にも上るもので、法律の利息の上限20%を大きく上回ります。
闇金融については、民法の不法原因給付という規定をもとに、元本を含めた返済義務がないという最高裁判所の判断がされているので、闇金融への返済が厳しいからといって自己破産をする必要はありません。
しかし、返済をしなければ、脅迫めいた方法によって返済を迫ってくるので、これに対応するために弁護士に依頼をする必要があります。
3.自己破産が出来ない場合の対応策は?
前述の自己破産から7年以内に知人や会社・ブラックでも貸付をする貸金業者から借り入れをしたものが返済できなくなった場合には、どのような対応方法があるでしょうか。
3-1.親族に援助をお願いする
一度目の自己破産をした際に家族に内緒にしていてうまくバレずに自己破産できたような場合には、まだ家族が苦境に陥っていることを知らないことがあります。
このような場合には、とることができる選択肢も限られていますので、思い切って事情を話して親族に援助をお願いしましょう。
3-2.他の債務整理方法を検討する
自己破産が出来ないといっても、債務整理方法は自己破産だけではなく、他の方法もあります。
それらの方法の利用を検討しましょう。
3-2-1.任意整理
任意整理とは、債権者と個別に交渉を行って、返済内容を軽くしてもらうものです。
消費者金融などの貸金業者から借り入れをした際には、利息の返済が必要で、返済が遅れると遅延損害金の支払いが必要となります。
任意整理は、利息・遅延損害金の支払いをカットしてもらうことになり、元金のみの返済となるため、完済に大きく近づきます。
ただし、任意整理が有効なのは基本的には貸金業者なので、ブラックリストでも貸付をしたところがあるような場合に、その債権者についてのみ行うことが考えられます。
3-2-2.個人再生
個人再生は自己破産と同じように、裁判所に申し立てをして、借金を大幅に減らしてもらって分割弁済をするものです。
この方法ですと、会社や知人の債務についても返済額を減らしてもらうことが可能です。
ただし、個人再生の方法である給与所得者等再生は、自己破産から7年以内は行うことができないので、小規模個人再生の利用をすることになります。
4.まとめ
このページでは、2度目の自己破産についてお伝えしてきました。
2度目の自己破産も可能なのですが、7年以内の自己破産は免責不許可事由にあたります。
7年後以降であれば自己破産は可能ですが、何らかの原因で7年以内に借金返済が厳しくなった場合には、他の債務整理方法を検討しましょう。