元アイフル社員が語る過払い金請求!
アイフルの過払い金請求は現在減少したのか
アイフルでは、2020年3月期の過払い金支払額は、次のようにピーク時より大きく低下しています。
過払い金支払金額
2020年3月期 138億円
2009年3月期 729億円
このように過払い金支払額は大きく減少しており、支払額は請求額よりも1年以上遅れて発生するため、実際の現在の請求額はもっと減っていると考えられます。
アイフルの過払い金請求が減った理由
過払い金請求が減少しているのはアイフルに限らず、大手消費者金融会社すべてにいえています。このように過払い金が減った理由には大きく2つの理由があります。
まず1つ目の理由として、過払い金請求には10年経過すると請求できないという時効の問題が生じることが一つです。
2つ目の理由として、過払い金の返還対象となるのは、2010年改正前の出資法の上限金利29.2%と、利息制限法で規定されている上限金利15%~20%(借入金額により異なる)のギャップで貸し出された「グレーゾーン金利」が対象となっているため、2010年以降借り入れを行った場合においては、過払い金が発生しないことがあげられます。
ちなみに、2010年以降、出資法や利息制限法の上限金利以上で貸し出されているものは、過払い金返還ではなく、利息規定の「無効」を訴えることになるため、過払い金返還とはまた別の問題となります。
最後に3つ目の理由として、上記の2010年の出資法改正以前においても、2006年の貸金業法改正以降、アイフルなど大手をはじめ、すべての登録貸金業者は新規に融資している方には利息制限法内の金利での融資をおこなっており、利息制限法を超えた借入をしていない(グレーゾーン金利を払っていない)利用者がすでに大半になっていることがあります。
過払い金請求の時効は10年
過払い金返還には10年の時効規定というものがあることはご説明をいたしました。10年の時効は、完済したときからカウントをはじめ10年となります。そのため、10年以上前から途切れずに借りている場合には、時効にはかかりません。しかし、いったん完済した場合には、その時点から10年を経過すると時効によって以前の過払い金の請求はできなくなっています。
そのため、アイフルでも2017年3月期以降の過払い金請求額は大きく低下し始めたのです。
2006年以降の新規貸付はすべて利息制限法内融資で過払い金は生じない
2006年の貸金業法改正時前から、アイフルなどの大手消費者金融では新規の融資はすべて利息制限法内の金利でおこなっているため、ほとんどの利用者は過払い金請求権のない方になっています。
すでに過払い金請求できる利用者がすでに出切り、時効もあるため、実際に弁護士事務所に過払い金返還請求事務を依頼する人も少なくなり、過払い金請求代行の大手弁護士事務所が破産申請する事態も生じています。
アイフルの過払い金請求減少は融資に対してどう影響する?
では、アイフルなどの大手消費者金融で過払い金請求が大幅に減少していることによって、利用者への融資にどのような影響が出ているのかを見てみることにします。
過払い金請求減少によるアイフルのコスト負担の軽減は融資資金増加へ
アイフルに限らず、大手消費者金融では、過払い金請求に対する支払は会社のキャッシュフローを苦しくしてきました。
過払い金請求が減少してきた現在においては、資金的な体力が回復してきており、その分融資に振り向けることが可能、すなわち融資に積極的になっているのです。
収益改善による資金調達力の向上
メガバンクの傘下に入っているアコム、プロミス、レイクALSAなどに比べて、傘下に入っていないアイフルの場合には、過払い金請求が減ることにより、単にアイフル社内の資金が過払い金返還として流出が止まることだけでなく、利益体質改善により、金融機関からの評価が高まることにもつながり、資金調達力が高まります。また、海外金融市場からの直接調達力も向上してくることになります。
すなわち、これまでよりも資金を集めやすくなることを意味するのです。
過払い金減少によるキャッシュフローの改善と、収益性向上による銀行や株式投資家からの借入環境の好転は、すべて消費者に向けた融資に利用できる資金が潤沢に用意できることを示しています。
アイフルの過払い金請求減少は利用者にとってメリットは?
アイフルの過払い金請求の減少によってアイフルの収益力と資金調達力が上がることによって、われわれ利用者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
アイフルの収益力と資金調達力があがることにより、以下のような利用者のメリットが発生してくると考えられます。
・収益力が上がることによって機械審査のスコアリングランクの水準を下がる可能性
・資金調達力が上がることによって、アイフルの融資姿勢がより積極化する可能性
すなわち、利用者はより借りやすくなるというメリットにつながります。具体的に見てみましょう。
収益力が上がることによって機械審査のスコアリングランクの水準を下げることが可能
これまでと社会属性が同じ方でも、スコアリングランクの足切り水準が下がることで、融資が断られていた方でも融資を受けられる可能性が出てきます。すなわち借りられる社会属性(年収や勤務先など)の水準がこれまでよりも低くても借りられるようになることを意味します。
例えば、これまで融資基準としての最低年収が150万円であったものが、100万円に下がったりするため、年収の少ない人でも通りやすくなるなどです。
資金調達力が上がることによって、アイフルの融資姿勢が積極化する
融資に回せるお金が増えることにより、アイフル全体で融資に対する姿勢が積極化することで、審査基準の緩和だけでなく、サービス面でも改善が期待できる可能性があります。
アイフルは、メガバンクの傘下にないことから、これまで365日24時間可能な振込融資は行えていませんが、今後実施される可能性も出てくるのではないでしょうか。
過払い金請求が減り、アイフルの融資が受けやすくなる場合の留意点
アイフルの融資姿勢が積極化して審査も緩くなった場合、確かに利用者にとっては喜ばしいことと考えられます。ただ、その反面、融資審査が基準が下がること、融資姿勢が積極化することは、過剰融資、すなわち、返済能力以上に借りてしまう可能性もでてきます。過去には、融資基準を緩めた結果、貸し倒れ率が高まったということもありました。
したがって、消費者金融やカードローンを利用する際には、自身でいくらまでなら返済ができるかをよく吟味して、自身の収入に比して、過剰に借りることのないように慎重に行動することが求められます。
また、昨今は新型コロナウイルス感染拡大による経済環境の悪化によって、思わぬところで収入が途切れてしまうということも起こっています。それはすなわち返済力は慎重に見積もる必要性が高まっています。
このように今後はこれまで以上に借り過ぎには注意する必要があるのです。
まとめ
アイフルをはじめ、大手消費者金融では過払い金返還金額が減少することによって、収益的にも、資金調達面でもキャッシュフローに余裕ができ、融資に回せる資金が増加し、利用者にとっては借りやすいメリットが生まれてくる可能性が高いといえます。
しかし、同時に過剰借入になる可能性も高まるため、慎重にご自身の返済力を見積もって計画的な利用をするようにしてください。