銀行カードローンは過払い請求できるのか?返済が苦しい場合の対応方法
銀行カードローンで長い間借り入れをしているけども、返済が苦しく対応をしたい、と考えていると、テレビやラジオ・ポスティングの広告で見る過払い金の存在が気になるのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、銀行のカードローンは過払い金の対象になりません。
では、どうして消費者金融や信販会社から借り入れをしている人は過払い金請求ができて、銀行のカードローンを利用している人は過払い金請求ができないのでしょうか。
このページで銀行のカードローンで過払い金請求ができない理由と、返済が苦しい場合の対応方法についてお伝えします。
1.過払い金請求とは
まず、過払い金請求とはどのようなものか、そのメカニズムについて確認しましょう。
1-1.過払い金請求とは
過払い金請求とは、利息の返済をさいた際に多く返済しすぎていた部分の返還を求める請求のことを言います。
このような返還を求めることができるのには、利息の上限に関する法律の改正の経緯が関係します。
1-2.利息の上限に関する法律
借金をするということは、法律上は金銭消費貸借契約を結び、貸金業者に対して返済時に利息の支払いをすることになります。
どのような内容の契約を結ぶかは当事者が自由に決められますが(契約自由の原則)、利息があまりにも高くなると国民経済を圧迫することになるので、利息に関しては法律で上限を設定しています。
この法律には利息制限法と出資法の2つがあります。
利息制限法は、契約の効力について規定しており、上限を超える契約を無効と定めています。
出資法は、上限を超える利息を要求する者に対して、刑事罰を科することを規定しています。
この2つの法律で上限の利息は年利20%までとなっているのですが、かつては刑事罰を法定する出資法のほうが大幅に利息制限法を上回っていました。
そのため、利息制限法を超えていないがら、刑事罰にならないように出資法は超えないという利率での貸付(グレーゾーン金利と呼ばれます)での貸付が横行していました。
1-3.グレーゾーン金利は無効と最高裁が判断して過払い金請求が可能に
グレーゾーン金利での貸付について裁判で争われ、最高裁判所は利息制限法を超える利息の受け取りは無効で、利息制限法を超える部分については元本に充当し、元本を超える場合には契約者に返さなければならない、としました。
この返さなければならないお金を請求することが、過払い金請求といいます。
2.銀行系のカードローンは過払い請求できない
銀行系のカードローンについては過払い金が発生しないことについて確認しましょう。
2-1.銀行系のカードローンは過払い金が発生しない
銀行系のカードローンについては過払い金が発生しません。
その理由としては、銀行系のカードローンは過払い金が発生する条件である、利息制限法以上の貸し付けを行っていないためです。
銀行系のカードローンは、出資法の上限利率が高い頃でも、消費者金融・信販会社のように利息制限法を超える貸付を行っていませんでした。そのため、過払い金が発生する余地がないのです。
2-2.<例外>銀行系のクレジットカードのキャッシングには過払い金が発生することも
ただし、同じ銀行系であっても、クレジットカードのキャッシング機能を利用している場合には、一部の会社で利息制限法を超える過払い金が発生する場合があります。
クレジットカードの発行は信販会社が行っており、銀行では子会社に信販会社をつくってクレジットカードに関する利用をさせていることが多いです。
この場合に、銀行のカードローンは利息制限法以内で貸し付けを行っていたとしても、子会社としては利息制限法を超える貸付をしている可能性があります。
この場合には過払い金請求が可能です。
2-3.<例外>銀行系の傘下になっている消費者金融にも過払い金が発生することも
消費者金融が銀行の傘下になっているような場合でも、利息制限法を超える貸付を行っていたならば、過払い金の請求の対象になります。
例えば、アコムは三菱UFJフィナンシャルサービスグループの傘下ですが、利息制限法を超える貸付を行っていたので過払い金の請求をすることができます。
2-4.過払い金請求の対象になる場合には弁護士に依頼をしよう
過払い金請求の対象になるような場合には会社から過払い金を取り戻すことが可能ですが、この場合には弁護士に依頼をすることをおすすめします。
過払い金請求自体は、法律上、だれでも行うことが可能です。しかし、過払い金がいくら発生していたかという調査をした上で、貸金業者と交渉をして、場合によっては裁判を起こして取り戻すことになります。
貸金業者ごとに、発生していた過払い金の何パーセントなら返還に応じるなどの基準が設定されており、無理に100%の返還を求めると最終的には頑張って強制執行をしなければならなくなります。
法律的な手続きについて詳しいのはもちろん、早く過払い金を取り戻すための落としどころを知っているのが専門家である弁護士なので、お金はかかりますが依頼をするのが良いでしょう。
3.銀行のカードローンの返済が苦しいのであれば債務整理を
銀行のカードローンに過払い金は発生しないとして、現実に銀行のカードローンの返済が苦しいのであれば債務整理を検討しましょう。
3-1.債務整理とは
債務整理とは、借金返済が難しい場合に、法律などの手段を用いて借金を免除・減額してもらう手続きをいいます。
任意整理・自己破産・個人再生の手続きを、その人の借金の額と無理なく返済ができる額に応じて検討をすることになります。
3-2.任意整理とは
任意整理とは、貸金業者と交渉をして、借金返済を楽にしてもらう手続きのことをいいます。
交渉といっても、債務整理実務の中では、いまある借金の元金のみの支払いにしてもらい、利息や発生している遅延損害金をカットしてもらって、分割で返済するようにしてもらいます。任意整理後は元金のみの支払いになるので、返済が大幅に楽になります。
3-3.自己破産とは
自己破産とは、破産法の手続きに従って、裁判所に申し出て借金免除をしてもらう手続きです。
破産法所定の支払不能という状態に至っている場合には、裁判所での手続きを経て借金などの債務をすべて免除して救済をしようとするものです。
借金が多すぎる場合や、収入がなくなってしまっているような場合で返済能力が乏しい場合に利用します。
3-4.個人再生とは
個人再生とは、民事再生法の手続きに従って、裁判所に申し出て借金を減額してもらって分割して支払っていく手続きのことをいいます。
自己破産の状態であるといえる場合でも、住宅ローンは手続きの対象外にできるので、住宅ローンで自宅を購入した方が自宅を守りながら債務整理できる方法となっています。
また、自己破産では資格によって仕事をしている人が、その仕事につけなくなる職業制限があるのですが、個人再生ではそのような制限がありません。
任意整理では元金の支払いが必要になりますが、個人再生では法律の規定にそった大幅な減額がされての分割返済になるため、借金の額が多い場合でも利用が可能となっています。
4.まとめ
このページでは銀行カードローンに対する過払い金請求についてお伝えしました。
銀行カードローンについては過払い金が発生しないので、返済が厳しくなっているような場合には債務整理を検討してみてください。