過払い金請求は誰に相談すればいい?弁護士・司法書士の違い、相談に必要なものをチェック

テレビやラジオ・ポストに入ってくる広告などで、「過払い金」というものがあることを知ったときに、いざ専門家に相談しようと思っても、相談先が多すぎてどこに相談すればいいかわからない…ということはありませんか?

弁護士・司法書士はどちらがいいのか、弁護士の中でもどのような人に相談すればいいのか、相談時にどのようなものが必要なのか、このページでまとめてみましょう。

 

1.過払い金請求って何?

 

そもそも過払い金請求とはどのようなものなのでしょうか。

 

1-1.過払い金請求とは

過払い金請求とは、利息制限法の範囲を超える利息の受け取りをしていた貸金業者に対して、その部分の利息(グレーゾーン金利)について返還してもらう請求のことをいいます。

借金をする人が、あまりにもの高利で生活を壊さないように、利息には法律で上限が付されています。

民事上の効力を規定するものとして利息制限法、高利貸しについて刑事罰を課す目的で定められた出資法という二つの法律が規定されています。

平成22年6月18日に出資法が現在の金利に改正されるまでは、利息制限法の利息よりも出資法の利息のほうが上であったため、利息制限法の規定には違反しているけれども、出資法には違反していないという状態で貸し付けられていました(グレーゾーン金利)。

この部分について最高裁判所は、受け取る理由がないので、利用者に返還しなければならないと判断しており(昭和43年11月13日判決)、この返還すべきものを求める過払い金請求が一般的になりました。

 

1-2.時効になりつつある過払い金

この過払い金請求ですが、平成22年6月18日に出資法が改正されてからは発生しなくなりました。

そして、過払い金が発生するという根拠となる民法の不当利得返還請求(民法703条)が、10年で時効にかかるとしていることもあり、すでに10年以上経過している昨今、どんどん時効にかかっています。

条件次第ではまだ時効となっていないものもありますので、過払い金請求をする場合には早めに請求をするようにしましょう。

 

2.弁護士?司法書士?過払い金請求は誰に相談をする?

 

ではこの過払い金請求は誰に相談をすればいいのでしょうか。

 

2-1.そもそも自分で請求することはできないの?

「弁護士や司法書士に相談や依頼をするとなるとお金がかかることだし、自分で請求することはできないの?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、過払い金請求を自分でしようと思っても、次の2つの点で壁があります。

一つは過払い金請求をするための理屈を知っていなければならないことです。

いくらの過払い金が請求できるのか、それをどうやって調べるのか、取引履歴をとりよせることができればどうやって計算すればいいのか、内容証明や裁判の仕方、過払い金請求をするためにはたくさんの法律・手続きを知っていなければできません。

もう一つは、貸金業者と交渉をする必要があることです。

個々の貸金業者がどのような対応をするのか、専門家以外の人からの請求でもとりあうのか、貸金業者が主張している金額が妥当なのかが分からないと請求ができません。

ですので、専門家に依頼するのが妥当であるといえます。

 

2-2.過払い金請求は弁護士・司法書士のどちらがいいのか

では、過払い金請求を相談するのは弁護士・司法書士のどちらが良いのでしょうか。

結論から言うと、過払い金請求については司法書士よりも弁護士に相談するほうが良いといえます。

過払い金請求のような相手との交渉を報酬をもらって代理することは、弁護士法72条に法律事務として規定されており、弁護士しかできないとされています。

ただ司法書士は、司法書士法において例外的に簡易裁判所に請求すべき金銭請求についての代理をする権限があります(司法書士法3条7号)。

訴額が140万円を超えない金銭請求について裁判をする場合には、簡易裁判所にすべき旨が裁判所法33条1号に規定されています。

以上から、140万円を超えない過払い金が発生していると、司法書士は請求を代理することが可能になります。

逆に言うと、140万円を超えている過払い金が発生していた場合や、控訴をされると司法書士は代理権がない状態になります。

この場合、司法書士は裁判書類を作成する権限はあるので、書類だけつくってもらって法廷には自分で赴くか、弁護士にあらためて依頼しなおす必要があります。

そのため、最初から弁護士に相談しておくのが良いでしょう。

 

2-3.過払い金請求をしてもらう弁護士の選び方

弁護士といってもいろいろな専門領域を持っているので、専門外の弁護士に相談しても思うような回答が得られない可能性があります。

弁護士の専門領域は主に、個人の法律問題の解決を目指す個人法務と、会社の活動に関するサポートを行う会社法務があります。

この個人法務の中でも、過払い金請求は、任意整理・自己破産・個人再生などの借金問題を取り扱う債務整理を得意とする弁護士が得意にするものです。

個人法務の中でも債務整理はあまり積極的ではない、という弁護士もいるので、債務整理を取り扱っている弁護士に相談をするようにしましょう。

 

3.過払い金請求の相談の際に必要なものは?

過払い金請求の相談の際に必要なものはどのようなものでしょうか。

 

3-1.借金に関する概要

過払い金をするにあたっては、借金および返済の内容について把握する必要があります。

といっても、現在の借金額を1円単位で確認できなければならない、いままでの返済をすべて確認しなければならないというわけではありません。

まず、次のようなものがあれば、持参するようにしましょう。

  • 消費貸借契約書
  • 返済の際の明細(レシート)

ただ、この2つを持っている人は稀なので、次のような情報を相談前に事前に整理しましょう。

  • どこから借りているか(会社名、途中で名前が変わったり合併・債権譲渡があった場合にはその旨も)
  • 現在の借金の額(約〇〇万円とだいたいでよい)
  • 最初に借り入れをした時期(平成〇〇年ごろとだいたいでよい)
  • 途中で完済したことがあるか
  • 連帯保証人の有無
  • 担保の有無
  • 公正証書を差し入れたかどうか

 

3-2.印鑑と身分証明書

過払い金など債務整理の請求については、弁護士の事務所では初回相談無料という対応をとっているところが多いです。

本人についての相談であることを確認する上でも、身分証明書の提示を要求されることがあります。

また、法律相談の結果そのまま依頼する場合には、契約書に捺印する必要もあります。

そのため、印鑑と身分証明書を持参しておきましょう。

 

3-3.法律相談料

弁護士・司法書士などの国家資格をもっている専門家に法律相談をする際には30分5,000円~の法律相談料が必要です。

ただ、過払い金請求を含む債務整理の相談については、法律相談料を無料あるいは初回無料としているところも多いので、無料である場合には、法律相談料を持っていく必要はありません。

 

3-4.依頼するときの着手金

過払い金請求に限らず、弁護士に手続きを依頼するには、着手金の支払いが必要です。

過払い金請求については、回収した金額の中から着手金も差し引く、という契約にしている場合もあるので、事前に予約をとる際に事務所の方に聞いてみましょう。

 

4.まとめ

このページでは、過払い金請求をだれに相談するか、相談する場合の準備などについてお伝えしてきました。

過払い金請求の仕組みを知っていただいた上で、これから請求を考えている場合には時効で権利を失わないように、早めに弁護士に相談をしましょう。