過払い金×銀行:銀行カードローンでも過払い金返還請求はできるのか?

過払い金請求というと、消費者金融に対してばかり行われるイメージがありますが、銀行カードローンで過払い金を請求することはできないのでしょうか?

結論的に言えば、基本的には銀行カードローンに対して過払い金請求をすることはできません。

銀行カードローンで過払い金を請求することができない理由、そして万が一銀行に対して過払い金があった場合の対処法について、詳しく解説していきます。

 

銀行カードローンで過払い金はあるのか?

銀行カードローンで過払い金というものはそもそも存在するのでしょうか?

基本的に銀行カードローンでは過払い金は存在しません。

従って、過払い金請求も不可能です。

銀行カードローンで過払い金が存在しない理由を詳しく解説していきます。

 

過払い金はグレーゾーン金利帯での融資での利息

過払い金とはグレーゾーン金利帯での融資の際に発生する利息です。

以前は日本には法律によって定められた金利が2種類ありました。

利息制限法という法律では上限金利は以下のように決められています。

 

  • 融資金額10万円未満:20.0%
  • 融資金額10万円以上100万円未満:18.0%
  • 融資金額100万円以上:15.0%

 

一方、出資法の上限金利は25.2%と決まっていました。

利息制限法を超えて、出資法以下となる金利を、法律のグレーゾーンであることからグレーゾーン金利と呼びます。

そして、グレーゾーン金利帯で支払った利息は過払い金として返還を受けることができます。

 

銀行法の規制を受ける銀行は以前から利息制限法を遵守していた

過払い金の返還ができるようになった理由は、貸金業法という法律が改正され、出資法の上限金利が撤廃されたことに起因しています。

 

出資法の上限金利撤廃によって法的な上限金利が利息制限法の上限金利へ統一されました。

 

そして、貸金業法は銀行ではなく消費者金融などのノンバンクを規制する法律です。

そのため、消費者金融から過払い金を取り戻すことができます。

 

一方、銀行は貸金業法ではなく銀行法という法律によって業務が規制されています。

銀行法の下で、銀行は以前から利息制限法を遵守した金利で融資を行っていました。

出資法の上限金利で銀行が融資をしていたことはなく、銀行がグレーゾーン金利で融資を行っていたこともありません。

銀行は以前から現在の上限金利と同じ金利で融資を行っていました。

 

銀行は過払い金が存在しない

銀行には基本的に過払い金は存在しません。

過払い金とはグレーゾーン金利帯での融資の利息で、銀行は以前から利息制限法を守って融資をしていたため、過払い金は存在しません。

過払い金は存在しないので、存在しない過払い金を請求することも不可能です。

 

もしも銀行がグレーゾーン金利で融資をしていたら請求できる?

基本的にはあり得ないものの、もしも銀行が過去に銀行法を無視してグレーゾーン金利で融資を行なっていた場合には、過払い金請求をすることはできるのでしょうか?

 

本当に銀行に過払い金があるのであれば請求すること自体は可能です。

しかし自分個人で請求するのではなく弁護士や司法書士などの専門家へ相談すべきでしょう。

 

過払い金を銀行へ請求すること自体は可能

本当にグレーゾーン金利で融資をしていたのであれば、請求すること自体は可能です。

そして、請求すれば高い確率で過払い金は返還されるでしょう。

 

個人間のお金の貸し借り以外の借入は利息制限法を遵守しなければなりません。

利息制限法を超える金利での貸付は過払い金返還義務があるため、例えば債権者が銀行であったとしても過払い金があるのてあれば過払い金請求することは可能です。

 

弁護士や司法書士に依頼するのがベター

もしも銀行からの借入で過払い金があったのであれば請求手続きは弁護士や司法書士へ依頼した方がよいでしょう。

一般の人が銀行に対して「過払い金があるから返還してほしい」と依頼したとしても相手にされない可能性があるからです。

また、銀行に過払い金があるということは通常では考えられることではないため、このようなイレギュラーなケースではまず弁護士や司法書士へ相談した方がよいでしょう。

 

過払い金があるかどうかの調べ方

銀行は基本的に過払い金は存在しないと言っても「銀行は信頼できない」「実はグレーゾーン金利で融資をしていたかもしれない」と疑ってしまう人もいるはずです。

そのような人は過去の借入から過払い金があったかどうか、まずは自分で調べる必要があるでしょう。

 

過払い金があるかどうかの調べ方を詳しく解説していきます。

 

過去の借入金の契約書や返済予定表を確認

まずは過去の借入金の契約書や返済予定表を確認するようにしましょう。

過去の契約書や返済予定表がないという人は銀行へ依頼することで契約書のコピーをもらうことができます。

 

完済から10年程度は銀行は過去の契約書等を保管しています。

そのため、依頼することによって契約書のコピーなどを受け取ることができる場合があります。

ただし、この場合も一般の人が発行を依頼しても銀行が応じてくれるかどうかは不透明です。

一般の人が発行を依頼するよりも、弁護士や司法書士などの専門家が発行を依頼した方が高い確率で発行に応じてくれます。

 

いずれにせよ、いずれかの方法でまずは過去の契約書や返済予定表を確認しましょう。

 

利息制限法の金利を超えていないかどうか

過去の契約書や返済予定表から確認することは「金利」です。

記載されている金利が利息制限法の金利を超えていないかどうかという点をしっかりと確認するようにして下さい。

例えば100万円以上の借入金なのに、適用金利が15%を超えているような場合には過払い金があることになります。

これは消費者金融からの借入における過払い金の確認方法と同じです。

まずは過去の契約書や返済予定表の金利を確認し、利息制限法の上限金利と比較するようにして下さい。

 

遅延損害金も利息制限法を守らなければならない

過去の契約書や返済予定表から「遅延損害金」という金利を見つけることができるでしょう。

遅延損害金は返済に遅れた時の罰金のような金利ですので、必ずしも利息制限法の上限金利を守る必要はないように思えますが、それは間違いです。

 

遅延損害金も利息制限法の金利を遵守する必要があるので、過去の契約書などから利息制限法の上限金利を超える遅延損害金が設定されており、実際にそれを支払っているのであればそれは過払い金です。

遅延損害金にも着目して過去の契約書や返済予定表をチェックするようにしてください。

 

このような検証の結果、本当に利息制限法を超える金利設定がなされているのであれば過払い金が存在する可能性が高いので、弁護士や司法書士などの専門家へ相談しましょう。

弁護士や司法書士によっては相談料が発生する場合もあるので、できる限り相談料無料の事務所へ相談するようにして下さい。

 

まとめ

銀行は出資法に上限金利が設けられていた当時から利息制限法を遵守して融資を行なってきました。

そのため、基本的に過払い金は存在しません。

しかし、万が一銀行がグレーゾーン金利で融資を行なっていた場合には過払い金を請求することができます。

ただし、通常は有り得ない銀行への過払い金を請求することは相当イレギュラーですので、弁護士や司法書士へ手続きを依頼した方がよいでしょう。

まずは過去の契約書などから過払い金の有無を調べ、過払い金がありそうな場合には弁護士や司法書士へ相談するようにしてください。