過払い金の請求には費用がかかるのか?気になるコストのまとめ
長い間消費者金融に借り入れをしていたため過払い金が発生しているかもしれない、と思っていても、過払い金を取り戻すためにそれ以上のお金がかかったら何の意味もないな、と心配になってしまいませんか?
過払い金が発生している場合でも、自動的に振り込まれてくるわけではなく、手続をふむ必要がある以上、様々な費用がかかってくるものです。
このページでは過払い金請求をするための費用についてお伝えします。
1.過払い金の請求・取り戻しのために必要な手続きにはどのようなものがあるか
まず、過払い金を請求・取り戻すための手続きにはどのようなものがあるのか、その費用と一緒にみてみましょう。
1-1.取引履歴の取り寄せ
過払い金については自分で計算をしなければなりません。
といっても、いつにいくら支払っていたかという情報は、毎月の返済における明細書を保存してあったか、記録をつけていた、全部覚えていたという場合でなければ正確なものは把握できず、計算もできません。
これらは貸金業者が保存している取引履歴を取り寄せて計算をします。
取引履歴の取り寄せについては、無料で対応している会社が多いので、借り入れをしている貸金業者のホームページを確認してください。
1-2.相手に請求するための費用
過払い金をどのように請求するかについての規定はありません。
ですので、電話・Eメールなど、どのような請求方法を利用することができます。
ただ、個人が過払い金請求をする場合にあたっては、内容証明郵便を利用することが多く、その利用には以下のような料金がかかります。
・定型郵便物:84円~(重さ・大きさによって94円・120円など)
・一般書留:435円~
・内容証明440円(1枚、2枚目以降は1枚ごとに260円が加算)
・配達証明320円
となっています。
紙ではなく電子内容証明を利用する場合には
・定型郵便物84円~
・一般書留435円
・内容証明382円(2枚目以降は1枚ごとに360円かさん)
・配達証明320円
・電子郵便料15円
・謄本送付料304円
がかかります。
1-3.裁判を起こすための費用
請求をしても相手が支払ってこない・相手が提案する条件に一切応じない場合には、裁判を提起して請求をしていきます。
この場合には裁判を起こすための費用が必要です。
裁判を起こすためには、収入印紙と予納郵券が必要です。
収入印紙は訴訟を起こすときに請求する金額(訴額)によって次のようになっています。
訴額 | 印紙代 |
訴額が100万円までの部分 | 10万円ごとに1,000円 |
訴額が100万円を超え500万円までの部分 | 20万円ごとに1,000円 |
訴額が500万円を超え1,000万円までの部分 | 50万円ごとに2,000円 |
例えば、過払い金が150万円であった場合には
100万円までの部分>10,000円
150万円までの部分>3,000円
合計13,000円となります。
なお裁判所には売店があり、収入印紙を購入できますので、あらかじめ準備しなくても現場で購入することが可能です。
また、裁判所が使うための郵券(切手)を予納しなければなりません。
郵券はお金ではなく、裁判所が指定する枚数の切手を揃えます。
どのような切手を納入するかは裁判所ごとに違いますので注意が必要です。
例えば、東京地方裁判所に納入する場合には
500円8枚
100円10枚
84円5枚
50円4枚
20円10枚
10円10枚
5円10枚
2円10枚
1円10枚
合計6,000円分が必要となります。
なお、利用しなかった切手については返却してもらえます。
1-4.強制執行に必要な費用
裁判に勝訴をしてもなお相手が過払い金を払ってこない場合には、強制執行を行うことになります。
相手の何を差し押さえるかによりますが、4,000円の収入印紙および、裁判所が執行官を派遣するための費用・交通費などがかかります。
2.弁護士に依頼する費用
過払い金請求は現実には弁護士に依頼する方が圧倒的に多数です。
その場合の弁護士費用はどのようになっているのでしょうか。
2-1.過払い金請求の弁護士費用について
弁護士費用については、現在は自由化されているので、弁護士によって報酬額が異なります。
ただ、過払い金請求については過去に不適切な費用の請求が相次いだこともあり、現在では弁護士会が上限を定めています。
以下、弁護士費用としてかかる額の細かい明細を見ながら確認しましょう。
2-2.法律相談料
過払い金請求をするためには、最初に弁護士と法律相談をする必要があります。
法律相談については通常は30分5,000円~(税別)の法律相談料が必要となります。
過払い金請求の相談をするにあたっては、個別の貸金業者との支払い状況についての確認のために、少なくとも1時間程度の相談は必要ですので、10,000円程度の弁護士費用が必要となりえます。
ただ、過払い金請求を含む個人を相手にする個人法務、とくに借金の問題については、重点的に取り組んでいる弁護士であれば、相談料は無料にしていることがほとんどです。
2-3.着手金
弁護士は依頼を受けて案件に取り組むときには、着手金を依頼者から受け取ります。
残高がまだある場合には1社との交渉につき2万円~5万円程度を、完済したものの過払い金請求については無料~5万円程度の着手金を請求します。
返済が苦しくて過払い金請求をするような場合には、支払いが難しい場合もありますので、分割や相手から取り戻した過払い金から差し引く事務所もあります。
2-4.解決報酬金
相手との交渉が終わって過払い金の取り戻しを行うと、成功報酬の請求があります。
成功報酬の細目の一つ目としては、どのような形で決着したとしても発生する解決報酬金があります。
これについては弁護士会で、1社あたり2万円(税別)の請求を上限としています。
相場としてもおおむね2万円前後の請求をするところがほとんどです。
2-5.減額報酬金
現在残高がある状態で過払い金を取り戻した時に発生する成功報酬です。
現在30万円の残高があって、100万円を取り戻した場合に、債務が0円にまで減額した分に一定の割合を乗じて求められます。
弁護士会の規定より上限は10%(税別)と定められていますので、上記の例でいうと30万円×10%で3万円が減額報酬金となります。
この報酬は過払い金を取り戻した場合には、そこから差し引きされることがほとんどです。
2-6.過払い金報酬
過払い金を取り戻した時に発生する成功報酬で、取り戻した金額に一定の割合を乗じて求められます。
弁護士会の規定によると25%が上限となっており、上述の例でいうと100万円を取り戻しているので、25万円が上限となります。
こちらも一度弁護士の口座に過払い金が振り込まれてくるので、報酬分を差し引きして依頼者に返すことになります。
2-7.司法書士に依頼をしたら安くなるかもしれないけど…?
過払い金を含む債務整理については、弁護士のほかにも司法書士も対応しています。
司法書士は一般的には弁護士よりも報酬が安い可能性があります。
しかし、過払い金請求においては、過払い金額が140万円をこえると司法書士が代理をすることはできない、裁判をしたときに控訴ができないなどの制限があります。
過払い金請求については何らの制限もない弁護士に依頼するのが良いでしょう。
2-8.そもそも弁護士に依頼する必要はある?
過払い金請求は本人ですることができます。
しかし、過払い金に関する法律・判例などの知識や、貸金業者ごとの特性などを知っていないと、交渉がうまくまとまりません。
個人が相手であれば、貸金業者としても上手く丸め込んでしまえると思って、厳しい要求をしてくることがあっても、相手が弁護士であればどのような条件か弁護士同士で情報を共有していることもあって、すんなり交渉が進むことも多いです。
一生懸命法律・判例を調べて、貸金業者にいいくるめられてしまうよりも、弁護士費用がかかっても弁護士に依頼するほうが高い金額の返還を勝ち取れるということも珍しくありません。
費用がかかっても弁護士に依頼することをおススメします。
3.まとめ
このページでは、過払い金請求をするため費用についてお伝えしました。
過払い金請求をするための手続き自体のコストもありますが、やはり弁護士費用も気になると思います。
このページでご紹介した費用を目安に、相談をしてみようと思う事務所のホームページに書いてある費用についてしっかり調べてみましょう。