過払い金請求のデメリットを徹底解説

テレビやラジオCMでよく耳にする過払い金請求、消費者金融にお金を借りている方や過去に完済をしてしまった方はとても気になるのではないでしょうか。

ただ、もしその過払い金請求をしてしまったがために、何か日常生活に影響を受けるということはないのでしょうか。

このページでは過払い金請求をする場合に発生しうるデメリットについてお伝えします。

 

1.過払い金請求とはどのようなものか

 

まず、過払い金請求とはどのようなものかを確認しましょう。

 

1-1.過払い金とは

 

過払い金とは、貸金業者に払いすぎたお金のことを言います。

消費者金融などから借金をすると、元本とともに利息の返済をする必要があります。

契約で定められた返済を行うと、法律上は支払いすぎていたという評価を受けることがあるため発生するものです。

 

1-2.なぜ過払い金が発生するのか

 

そもそも、契約通りにお金を払っていただけなのに、どうして過払い金が発生するのでしょうか。

消費者金融などの貸金業者からお金を借りる金銭消費貸借契約において、貸金業者は返済にあたって利息を受け取って利益にしています。

この利息については、無制限に認めると、借り入れをしている人の生活がなりたたなくなる可能性もあるので、利息制限法・出資法という2つの法律で上限が定められています。

利息制限法は民事上の効力を規定しており、出資法は高利貸しに対して刑事罰を課すというものです。

この2つの法律現在では上限利率が一緒なのですが、かつて出資法の上限利率のほうが高い時期がありました。

そのため、刑罰を受けなければ良いという観点から、出資法の規定は守りつつ、利息制限法の規定よりも高金利で貸付を行っていた貸金業者が居たのです。

この利息制限法以上の利息で、出資法の制限内での貸付を「グレーゾーン金利」と呼んでいます。

グレーゾーン金利での貸付について最高裁判所はいくつかの裁判で次のように判断しています。

・最高裁判所昭和39年11月18日:払いすぎていた利息分を元本と差し引き計算をする

・最高裁判所昭和43年11月13日:払いすぎていた利息のほうが多い場合には貸金業者に返還請求をすることできる

これによって過払い金請求というものが一般的に認識されるようになりました。

 

1-3.過払い金請求はどんどん時効にかかっている

 

過払い金は、現在の出資法の上限利率になった2010年6月18日以降は発生しなくなっています。

この過払い金請求は、最高裁によると、民法の不当利得返還請求権(民法703条)を基礎に請求することが可能とされており、発生当時の時効の規定によると10年で時効になるとされています。

そのため、現在請求していない過払い金はどんどん時効にかかっていますので、請求を考えているのであればすぐに行動をしましょう。

 

2.過払い金請求をすることにデメリットはないのか

 

では過払い金請求をするような場合にデメリットになることはないのでしょうか。

 

2-1.ブラックリストとの関係

 

過払い金請求をする場合に心配になるのがブラックリストです。

ブラックリストというのは、貸金業者が貸し付けなどをする際に確認する信用情報に、債務整理をした・延滞したなどの情報が記載されていることをいいます。

ブラックリストになると、消費者金融等のみならず住宅ローン・車のローンなどの借り入れができない・クレジットカードが作れない、などの影響が発生します。

ただ、これは債務整理をした場合なので、すでに完済している場合に過払い金請求をした場合や、現在も残高はあるけど計算をすれば過払い金請求できる場合には、ブラックリストにはなりません。

現在残額がある人で、過払い部分のほうが少ない場合には、完済してから請求することも検討しましょう。

 

2-2.過払い金請求の手続きは面倒くさい?

 

法律上過払い金を請求できるからと言って自動的に現金が振り込まれてくるわけではなく、過払い金が発生している業者に対して請求をして行うことになります。

過払い金がいくら発生しているのか、請求をどこにするのか、内容証明や訴訟をどうやって起こすのか、相手との交渉をどのようにすすめるのか、裁判に勝った後にも支払いがない場合にはどうすればよいか、手続や交渉が必要になります。

自分で過払い金請求をするような場合にはこれらの法律の知識や手続きについての知識を知らなければいけない上に、交渉もしなければなりません。

もちろんこれらは弁護士に依頼することもできますが、弁護士に依頼する場合には弁護士費用がかかります。

ただ、何もしなければ払いすぎたお金を取り戻すことすらできないので、仕方のないデメリットではあります。

 

2-3.弁護士費用がかかる

 

もし弁護士に依頼をする場合には、弁護士費用がかかります。

弁護士費用については次の通りの費用がかかります

・相談料:無料~30分5,000円程度

・着手金:無料~1社あたり5万円程度

・解決報酬金:2万円が上限

・減額報酬金:減額した分の10%が上限

・過払金報酬金:25%が上限

法律相談をするためには相談料がかかります。

弁護士の一般的な相場は30分5,000円程度ですが、過払い金請求を含む債務整理の相談については無料で相談にのっているところが多いです。

弁護士に依頼して案件に取り組んでもらう際には着手金が必要です。

完済している過払い金請求については無料~、残額があるものについては任意整理として依頼を受けることになり、1社につき5万円程度の着手金が必要となります。

完済しているような場合には着手金も取り戻した中から精算する法律事務所もあるので、相談をしてみましょう。

解決報酬金は、いくらで過払い金の取り戻しに成功したかにかかわらず、請求される金額で、弁護士会は解決報酬金の上限を2万円としています。

減額報酬金は、残額があるときに過払い金請求をした場合、今ある残額から0円になった分について発生します。

少しわかりにくいので後述の例を参照にしてください。

弁護士費用の上限は減額した分の10%が上限となっています。

過払金報酬金は、取り戻した過払い金がある場合に弁護士に支払うものです。

弁護士会では取り戻した額の25%を上限としています。

たとえば、現在30万円の残額がある方が100万円の過払い金を取り戻した場合には、

・相談料0円

・着手金0円

・成功報酬金2万円

・減額報酬金30万円×10%=3万円

・過払金報酬金100万円×25%=25万円

合計28万円(税抜き)が必要となります。

多くの事務所では、取り戻した100万円のなかから差し引いて、残った金額を依頼者に返還する弁護士が多いです。

こういった費用がかかるのは確かにデメリットです。

しかし、上述したような法律知識・手続きの知識を備えている上に、貸金業者がどのような対応をしてくるかも熟知しています。

いくらで妥協すべきか、訴訟をしたほうがいいか、貸金業者が主張してくることが妥当なのかどうか(裁判をしたらどちらの主張が通るか)、といった交渉面も任せられます。

個人で請求をして、大変な手間がかかった上で、貸金業者の主張に押し切られて低い金額で交渉を終えてしまうよりも、弁護士に依頼したほうが楽で取り戻した額が多い、という可能性もあります。

弁護士費用がかかるのはデメリットですが、過払い金を楽に最大限取り戻してくれるので、それ以上のメリットを得ることができます。

 

3.まとめ

このページでは、過払い金請求をすることのデメリットについてお伝えしました。

過払い金請求をする際にも、ケースによってはブラックリストになったり、手続きをすすめるための負担が伴うというデメリットがあります。

自分の場合はどうなのか?ということも含めて弁護士に相談してみるのが良いでしょう。