JCBの過払い請求はできるのか?返還率や回収率、ポイントのまとめ
クレジットカードを長年利用していると、弁護士・司法書士が広告をしている「過払い金」の存在について気になるのではないでしょうか。
クレジットカードの中でも割とポピュラーな存在であるJCBを使っている方も多いと思いますが、JCBにも過払い金の請求をすることができるのでしょうか。
このページではJCBに対する過払い金についてお伝えします。
1.過払い金ついての基礎知識
そもそも、借り入れをしていた人がどうして過払い金という形でJCBを含む貸金業者に対してお金を請求できるのでしょうか。
まずは過払い金とはどのような権利なのかを確認しましょう。
1-1.過払い金とは
過払い金とは、毎月貸金業者にした返済について、払いすぎていたとされる部分について、貸金業者から返してもらう手続きを言います。
貸金業者から借金をすると、毎月の返済の際に利息と一緒に返す必要があります。
貸金業者はこの利息を受け取ることで利益を得ているわけですが、利息が高利になると契約者の生活が過度に苦しくなるので、法律で利息の上限を定めています。
利息の上限を定める法律には、「利息制限法」と「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下、出資法)」があります。
利息制限法は取引上の効力について規定しており、出資法は高利貸しに対する刑罰を定めています。
この出資法ですが、2010年6月18日の改正出資法の施行まで、利息制限法よりも高い利率が設定されていました。
そのため、貸金業者としては、刑事罰を受けないように出資法だけを守るという状態になっており、利息制限法を超えて出資法未満の利息(グレーゾーン金利と呼ばれています)で貸し付けがされていました。
この利息制限法を超える利息を受け取ることは無効であると最高裁判所が判断し、契約者に対して無効な金利の部分については返還するように命じました(最高裁判所昭和43年11月13日)。
これが過払い金請求の法律上のメカニズムです。
1-2.過払い金請求の対象となる人
では、貸金業者から過払い金請求をすることができる人はどのような人なのでしょうか。
1-2-1.利息制限法以上の貸し付けを行っていること
まず、過払い金は上述したとおり、利息制限法以上の貸し付けを行っている場合に発生します。
ですので、クレジットカードでショッピングをした場合の返済については、貸し付けではないので過払い金は発生しません。
また、銀行・銀行系の信販会社などに代表されるように、キャッシングでも利息制限法以上の貸し付けを行わない会社の場合には過払い金は発生しません(後述しますがJCBは利息制限法以上の貸し付けを行っています)。
また、過去に利息制限法以上の貸し付けを行っている場合でも2010年6月18日以降は利息制限法以上の貸し付けを行っていません。
1-2-2.残っている残額よりも過払い金のほうが多いこと
長年取引をしていたり、信販会社からの借り入れでショッピングも利用しているような場合には、現在も残額がある状態です。
この場合、過払い金のほうが現在の残高よりも多い場合に、現在の残額を相殺した金額を返してもらえるのが過払い金の原則になります。
言葉だけでは分かりづらいので実例を見てみましょう。
現在も元金が30万円あるような場合に、過払い金が50万円ある場合に、元金を差し引いて20万円を返してもらえるのが原則です。
ですので、元金が30万円である場合に、過払い金が20万円である場合には10万円の残額を分割返済することになります。
ここで例えば前者のケースでは50万円を、後者のケースでは20万円を請求したうえで、元金30万円は別で分割返済をするということはできないので注意をしましょう。
1-2-3.時効にかかっていないこと
過払い金請求権は民法703条の不当利得返還請求権をベースに認められる権利です。
この不当利得返還請求権は、過払い金が発生した当時の民法の規定に準拠すると、10年で時効にかかるという取り扱いになっています。
出資法が現在の上限利息に改正されたのが2010年6月18日と、すでに10年以上経過していることも加味すると、すでにかなりの過払い金が時効にかかりつつあります。
過払い金が気になったならば、なるべく早く弁護士に相談をするようにしましょう。
2.JCBへの過払い金請求について
以上過払い金の一般論を確認した上で、JCBに対する過払い金について確認しましょう。
2-1.JCBも利息制限法以上の貸し付けをおこなっていたので過払い金はある
まず、JCBについて過払い金が存在するのでしょうか。
JCBについては、平成19年頃までは上限27.8%で貸し付けを行っていた会社で、過払い金はあるといえます。
そのため過払い金請求は可能です。
2-2.会社としてのJCBとJCBブランドのカードの違いに注意
JCBのカードといっても、株式会社ジェーシービー本体と、JCBブランドのカードがあります。
株式会社ジェーシービー本体に過払い金請求は可能ですが、JCBブランドのカードで実は会社としては別の会社のカードだった場合には、そのカードを発行している会社に対して過払い金請求をすることができます。
JCBブランドでカードを発行している会社としては
・三菱UFJニコス
・クレディセゾン
・イオンクレジットサービス
・オリエントコーポレーション
・セディナ
などがあります。
2-3.JCBに過払い金請求をする場合の交渉の展望
JCBに過払い金請求をする場合に、どのように交渉が進むのでしょうか。
弁護士を通して相手に請求できる金額について確認しましょう。
まず、任意の請求を行った場合には、60%程度の金額を合意から3ヶ月で返してもらえます。
JCBとしてもできる限り金額を下げて欲しいという交渉をしてくるので、それに応じて早く返してもらうかどうかを検討することになります。
これ以上の金額を取り戻したい場合には、裁判を起こす必要があります。
裁判を起こしてJCBと交渉をする場合には、70%以上の金額を返還率に合わせて4ヶ月後以降に返還してもらうことになります。
返してもらう金額が多ければ多いほど、先の支払いを指定されることになります。
これは、JCBとしても過払い金を返すための予算を毎月の利益の中から確保しており、その確保できた利益に応じて返還に応じているためこのような扱いになるからです。
ですので、多く返して欲しい・早く返して欲しい、ということを両方主張することは難しいのが現状です。
3.JCBへの過払い金請求の注意点
JCBに過払い金請求をするときの注意点について確認しましょう。
3-1.以後株式会社ジェーシービーとの取引ができなくなる
過払い金請求をすると以後は株式会社ジェーシービーとの取引ができなくなります。
そのため、株式会社ジェーシービーで作ったJCBカードを使ってショッピング・キャッシングができなくなります。
これについて、債務整理をする際のブラックリストなのか?と思う方もいらっしゃいますが、ブラックリストはすべての貸金業者からの借り入れができなくなるものであるのに対して、過払い金請求が原因で取引が不可能なのは、その会社との関係だけです。
そのため、他社のJCBブランドのカードの利用をすることは可能です。
3-2.ショッピング利用をしている場合は注意
JCB相手にショッピングとキャッシングをしていて、キャッシングは完済をしているので過払い金請求をする…という場合には注意が必要です。
前述したように残金が残っている場合には、残金と過払いの差額を過払い金請求することになります。
この残金にはショッピング残も含まれますので、ショッピングの利用は続けているような場合には残額がどれくらいか確認をしましょう。
4.まとめ
このページではJCBに対する過払い金請求についてお伝えしてきました。
JCBに対しても過払い金は発生しますが、すでに時効にかかっている権利も多くなってきているので、過払い金の請求をするのであれば早めに弁護士に相談をするようにしましょう。