過払い金請求は自分で出来るのか?難しい点やオススメ出来ない理由とは
過払い金返還請求は自分で出来る?
過払い金の返還請求は、2006年以前から貸金業者に利息制限法を越える利率でお金を借りていた方が対象になることはご存じの方も多いと思います。
かつて高い利率でお金を借りていた経験のある方は、その利息制限法を越えて支払った利息が戻ってくるのです。100万円を越える過払い金が戻ってきたというような広告を見た方もいるでしょう。
この借入先に対する過払い金の返還請求は自分自身で出来るのでしょうか。自分でおこなうとすれば、どのように手続きすればいいのか、またどのような手続きや作業が必要になるのかについてご説明します。
過払い金請求において必要になるものとすべきこと
まず、過払い金の返還請求をするために何が必要になるのかについて見てみます。
過払い金は、2006年の貸金業法の改正以前に貸金業者から利息制限法の法定利率よりも高い金利を支払っていたことを確認することから始める必要があります。
すなわち、いつごろどの貸金業者からどれくらいの金利で借りていたことを思い出すことから始めます。それに基づいてその貸金業者に過去の借入と返済の明細を取り寄せる必要があります。本来はそれらの明細書をとっていればよいのですが、ほとんどの方は残っていません。
したがって、この過去の借入と返済の明細、すなわち取引履歴を借りていた貸金業者ごとに揃えることからスタートです。貸金業者、とくに大手消費者金融では過去の取引すべてをコンピューターの磁気テープに保存しており、依頼すればその取引履歴を取り寄せることが可能です。
借りた貸金業者が今もあるか確認の必要
ただし、2006年以前には2万件近くあった貸金業者は現在では2千件を切っており、対象となる貸金業者が現在も存在しているのかも確認する必要があります。街金と呼ばれた小規模業者はほとんど姿を消しており、大手消費者金融でも武富士のように破綻してなくなっている場合もあるのです。したがって、存在していなければ、請求のしようがないのです。
過払い金請求を自分でやる場合にするべきこと
この過去の借入と返済の明細がわかれば、次にいくらくらいの過払い金が生じているかを計算します。
この作業は非常に大変な労力になります。まず、はじめてお金を借りた時点から、返済ごとに利息制限法の法定金利で本来支払うべき利息を計算して、実際に返済した際の利息との差額を出していきます。
これを自分でやるには、パソコンなどのExcelなどの表作成ソフトを利用して計算していく必要があります。
複雑な過払い金の計算方法
しかも、単純に差額を出せばいいというものではありません。法定利息と支払った利息の差額は元本に組み入れて、次の月の法定利息を出し直す作業が必要になります。それを最終返済まで何度も繰り返すことになります。
そのため、返済回数が多いと、計算の途中で元本がなくなってしまうことも出てきます。元本がなくなれば、それ以降の支払った過払い金はすべて返還対象になるのです。
ただし、何度も追加の借入をしていた場合には、元本は複雑に変わってくるため、パソコンなどでExcelを使うにしても、かなり時間を要することになります。また、途中で一時的に完済している場合には、その時点で時効対象になり、それ以前の借入分は請求でいないので、作業が無駄になることもあるのです。
この時効の判断も自分で判断すると謝ってしまうこともあり得ます。完済と同時に借入をしている場合もあり、個人で判断するのは危険です。
法律事務所などに依頼すれば、貸金業者に計算させたものを取得して、その検証だけですみますが、個人で請求した場合には、かなりの交渉術がない過払い金の計算は断られ、法律事務所を通すように言われてしまう場合も多いのです。
貸金業者との交渉が必要になる
時間をかけて苦労して過払い金を算出したら、その計算をもとに貸金業者に返還請求手続きをする必要があります。しかし、請求に対する返事がなかなか来ないことも珍しくありません。
しかも、貸金業者からの返事が来てから、実際の難しい交渉が始まります。請求を出したからすぐに過払い金がすんなりと戻ってくる訳ではないのです。
貸金業者は、なるべく返還金額を削ったり、返還時期を先伸ばしたりしようと、過払い金専任の海千山千の担当者が交渉にあたってきます。そのために、たいていは過払い金請求した金額の50%以下に削られた上、返還時期も半年後や1年後などになっている場合が多いのです。
専門家の場合には経験的に、過払い金の返還率がどの程度であれば貸金業者と妥協できるのかがわかっており、早めに交渉を済ますことができます。
しかし、個人の場合には、どの程度で返還交渉に妥協すればいいのかがわかりません。したがって、この貸金業者との交渉に応じるためにはかなりの覚悟が必要になります。
個人での過払い金返還請求において難しい点とは
このように、自分で過払い金の返還請求をして、実際に取り戻すためにはかなりの作業と交渉が必要になり、多くの労力と経験がなければ、非常に難しい作業になると言えるのです。そのポイントをまとめてみましょう。
過払い金の計算を自分でやるには困難を伴う
過払い金の算出は、パソコンなどのExcelでやるにしても、複雑でかなりの労力が必要になり、途中での一時的な完済や時効のチェックが必要になるため、自分でやるにはかなりの困難を伴うことになります。
専門の法律事務所に委託すれば、貸金業者から計算されたものを取得するため、時間的にもかなり節約が可能になりますし、時効などの判断もしてくれます。
過払い金返還請求の交渉は難しい
過払い金の返還請求に対して、貸金業者は過払い金交渉に通じた担当者を用意しているため、厳しい交渉が行われ、途中でうまく丸め込まれることもあり、これもかなり困難な交渉になります。
過払い金返還請求を自分でやることはオススメ出来ない
以上のように、過払い金返還請求を自分で行う場合には、多くの労力と熟達した交渉力が必要になるため、自分自身でやることはオススメできません。
法律事務所などの専門家に依頼すれば、過去の借入、返済の実績から過払い金の計算まで、貸金業者にやらせる上、その検証までした上で、業者との交渉も行なってくれます。業者側と同様過払い金返還請求に詳しい担当者が交渉を行うため、丸め揉まれることもありません。
専門家に依頼する際の注意点
専門家に依頼したから、すぐに全額が戻ってくるというわけではないことを覚悟しておく必要があります。
過払い金の検証には多くの労力が必要になりますし、交渉も簡単にはいかない場合もあるのです。貸金業者の対応次第では訴訟になることもあり、長い時間がかかるとともに実際の返還率も引き下げざるを得ない場合も多いのです。
さらに時間がかかればかかるほど、専門家に支払う手数料報酬も多くなる傾向があります。
それらを覚悟の上で依頼をかけるようにしましょう。
過払い金返還を自分で出来るのかのまとめ
過払い金返還請求は、自分自身で行うにはかなりの時間と労力、さらに熟達した交渉力が必要になります。
そのために、専門家に依頼して過払い金を取り戻すことをおすすめします。過払い金がすべて戻ってくる訳ではありませんが、自身でおこなって時間がかかる割にわずかしか戻ってこないよりはよい結果が得られる可能性が高いでしょう。