自己破産にかかる費用の相場は?安くするための方法は?
借金返済ができなくなったときに、自己破産などの方法の利用を考えていても、実際にそれがいくらするのか、お金がないのに弁護士に依頼するための費用なんて払えるのか?という疑問をお持ちではないですか?
自己破産手続きを弁護士に依頼すると確かに金額だけでいうとかなりの費用がかかります。
そこでこのページでは自己破産にかかる費用の相場と、安くするための方法についてお伝えします。
1.自己破産の手続きの概要
自己破産にかかる費用をイメージするにあたって、自己破産手続きではどのようなことをするかを確認しておきましょう。
詳しい費用については後述します。
自己破産手続きは、裁判所に申し立てをして、破産法に定められた手続きを経て、借金を免責してもらう手続きをいいます。
弁護士・司法書士といった法律の専門家に依頼して行うことになります。
そのため、裁判所を利用する公的な手続きという点・専門家に依頼する費用という2つの点からどのような費用がかかるかを検討すべきということになります。
2.自己破産手続きにおいて裁判所でかかる費用
まず、自己破産手続きの申し立てにかかる手続き費用について見てみましょう。
自己破産手続き自体にかかる費用としては、
- 申立手数料
- 裁判所が使う切手の納付の費用
- 官報に公告するための費用
- 引継ぎ予納金
の4つを考える必要があります。
2-1.申立手数料
自己破産の申し立て手数料は1,500円となっています(法人の場合は1,000円)。
申立手数料は、自己破産の申立書に収入印紙をはりつけることで納付します。
一般的な訴訟では訴額によってこの費用が変わってくることもあるのですが、自己破産についての金額はすべて一定となっています。
2-2.裁判所が使う切手の納付の費用
申立てにあたっては、裁判所が債権者や弁護士・司法書士に書類を送るために使用する切手(予納郵券といいます)を納付する必要があります。
この費用については裁判所によって異なるので一概に言えませんが、4,000円から8,000円程度です。
例えば東京地方裁判所で同時廃止をする場合には
種類 | 枚数 |
210円 | 8枚 |
84円 | 29枚 |
10円 | 6枚 |
2円 | 10枚 |
1円 | 4枚 |
計4,100円分を納付します。
2-3.官報に公告するための費用
自己破産手続きでは官報に公告がされます。
そのための費用も申立人が負担することになっています。
この費用も裁判所ごとによって異なるのですが、おおむね10,000円~18,000円程度となっております。
東京地方裁判所では、11,859円となっています。
2-4.引継予納金
自己破産手続きにおいて少額管財となるときには、管財人の報酬となる引継予納金の支払いが必要となります。
この金額も裁判所や申立の仕方によって異なり、弁護士に依頼をして裁判所に申し立てをする場合には、20万円~30万円程度ですみます。
一方で本人が直接申し立てをする本人申立や、これと同視することができる司法書士が書類を作成して申し立てる場合には、20万円程度でいい場合もあれば、裁判所によっては50万円程度必要になることもあります。
このような事があるので、自己破産に関しては自分の裁判所がどのような運用になっているかを確認し、できれば弁護士に依頼をするほうが安くすむ可能性があります。
3.弁護士・司法書士に対する費用
弁護士・司法書士に対する費用について確認しましょう。
3-1.法律相談の費用は無料のところが多い
自己破産を依頼するにあたっては、事前に法律相談・借金相談をする必要があります。
国家資格の専門家にこういった相談をする際には、30分5,000円(税別)程度の費用がかかります。
自己破産の相談については、どこから借り入れをしている、収支の状況がどのようになっているかなどの確認を細かくする必要があり、人によっては1時間~2時間程度かかることもあります。
しかし、自己破産を含む債務整理に注力している事務所では、相談料を無料としているところが多いです。
3-2.自己破産を依頼すると20万円~50万円程度の費用
自己破産の依頼を弁護士・司法書士にするためには20万円~50万円くらいの費用がかかります。
これは、その事務所が債務整理・自己破産手続きに対して積極的かどうかにもよります。
弁護士・対応をする専門の事務員(パラリーガル)を配置して、いつでも受託できる体制を整えている事務所であれば、費用を抑えることも可能なので安いこともあります。
3-3.弁護士・司法書士費用は分割して支払うことができ無理なく支払うことができる
この金額を聞いて「目の前の消費者金融に対する1万円・2万円という返済ができないのに、20万円も支払うことなどできない」と思った方も多いのではないでしょうか。
しかし、弁護士・司法書士費用は分割の支払いに応じている事務所が多いです。
それでも「たとえ分割になったとしても、消費者金融への返済すらできていない状況なのに、上乗せして弁護士費用の支払いを求めるのは無理」と考える方も多いでしょう。
弁護士・司法書士に自己破産を含む債務整理を依頼すると、債務の返済をストップすることになっており、貸金業者は債務者に直接督促をすることができなくなります(貸金業法21条9号)。
そのため、毎月支払いをしていた額をそのまま弁護士費用の分割支払いに回すことができます。
つまり、今まで貸金業者に月5万円の返済をしていた人は、以後はその支払いをやめて、弁護士費用を分割して払っていくことが可能となっています。
4.その他の費用
その他に自己破産手続きでかかる費用についてはどのようなものがあるでしょうか。
4-1.弁護士・司法書士の事務所に行く交通費
債務整理に関しては過去に不適切な業務処理が相次いだため、依頼をするためには直接面談が原則とされています。
そのため、依頼をするにあたっては弁護士・司法書士の事務所に行く交通費がかかります。
ただ、以後の打ち合わせは基本的には電話で行うことがほとんどなので、費用がかかっても1回だけです。
4-2.申立てに必要な添付資料
自己破産手続きの申し立てをするのに添付資料を付ける必要があります。
銀行口座のコピーや車検証・保険証書、住民票といったものが必要となります。
人によってどのような資産があるかによっても異なるのですが、これによって家計に負担がかかるほどの額ではないので安心して良いでしょう。
4-3.裁判を起こされた場合
自己破産手続きの最中に貸金業者から裁判を起こされることもあります。
典型的には、貸金業者が債務整理に非協力的であったり、自己破産手続きが遅延してしまったような場合に発生します。
この場合には、弁護士が裁判所に出廷することになりますので、日当として1万円~2万円の支払いが発生します。
4-4.過払い金がある場合
自己破産手続きを依頼した後に債務の調査を行うのですが、いわゆるグレーゾーン金利として債権者にお金を返してもらうことを請求できる場合があります。
この請求のことを過払い金請求と呼んでおり、この手続きが発生した場合には別途費用がかかります。
その費用は以下の通りとなっています。
解決報酬金:2万円
減額報酬金:10.5%
過払金報酬金:20%~25%
たとえば、30万円の借り入れをしていた会社に対して50万円の過払い金が発生しており、20万円をとりもどした場合には、
解決報酬金:20,000円
減額報酬金:300,000円×10%=30,000円
過払金報酬金:200,000円×20%=40,000円
合計=80,000円となります。
この過払い金は手続きの中で処理をするので、どのように使うかは弁護士と相談しながら決めます。
5.まとめ
このページでは、自己破産にかかる費用についてお伝えしました。
人によってどの程度かかるか異なることもあるので、心配であれば費用が心配である旨伝えて弁護士・司法書士と相談をすることをお勧めします。