過払い金は2010年以降でも戻ってくるのか?10年以上前の過払い金請求はできないという噂は本当か?
過払い金は2010年以降でも戻ってくるの?
過払い金返還請求をしたいと思っている人でも、高い金利で借りてからずいぶん経過しているので、本当に戻ってくるのだろうかと思っている方もいます。また、2010年以降に借りた借金でも過払い金は戻るのだろうかと思ってくる方もいます。
基本的には過払い金返還請求には10年の時効があります。また、2006年に貸金業法が改正され、利息制限法を越えた融資はできなくなったため、2010年以降に借りた借金には過払い金は発生していません。
ヤミ金などでは、高い金利で貸付けて高利をむさぼっていますが、ヤミ金自体が違法であり、貸金業法の登録もされていないため、これは過払い金請求以前に警察に届け出て解決したほうがよいでしょう。
過払い金返還請求について誤った知識で失敗する例も見受けられます。請求できるのに時効の知識が中途半端なために請求を諦めたり、請求しても返還されなかったりという例もあるのです。
そこで過払い金の返還請求に関する時効や請求期間について解説します。
2010年ではすでに利息制限法を超える融資はない
2006年1月に最高裁判所において、「貸金業法で許されている上限金利は利用者に充分な説明をして本人が納得していなければならない。契約書に記載されているからといって充分な説明がおこなわれたとはいえない。利息制限法を越えた利息は請求されれば返還しなければならない」という判決があり、それ以降過払い金返還請求は堰を切ったように毎年大量におこなわれるようになったのです。
しかし、この過払い金返還請求はあくまでも利息制限法を越えた利息部分について生まれるものです。金融庁は、2006年の最高裁判所の判決によって同年に貸金業法の改正をおこない、利息制限法を越えた融資はできなくなっています。
そのため、貸金業法に登録されている貸金業者から2006年より以降に新たに借りた借金には過払い金は発生していないのです。
したがって、2010年以降に借りた借金には過払い金は発生しておらず、支払った利息が戻ってくるということはありません。
過払い金返還請求には10年の時効がある それ以前の過払い金請求はできない
過払い金返還請求にはすでに記載したように10年の時効があります。ただし、あくまでも完済してから10年以上経過した場合であり、2006年以前から継続して借りている場合にはこの適用は受けません。
これらを中心に詳しく見ていくことにしましょう。
完済してから10年が経過すると過払い金請求の権利は消滅する
利息制限法を越える旧貸金業法の上限金利で借りていても、一度完済してしまいますと、その後10年が経過してした場合、過払い金返還請求の権利は消滅してしまいます。
とくにクレジットカードのキャッシングなどで一括払いにて借りたような場合には10年経過してしまえば過払い金の請求はできないのです。
また、消費者金融などでも、一度完済した後に再び借りた場合には完済以前に支払った利息の過払い分の請求権利は10年を経過すると消滅してしまいます。
消費者金融などでは、ATMなどで完済してもカードを返却することは少ないため、このような事態が生じる可能性が多いのです。
また、昔から消費者金融では増額を行う際には、一旦完済した形にして新たな契約を結ぶケースがあるため、自分では継続して借りていると思っていても時効が生じている場合もあり得るので、注意が必要です。
過払い金は10年経過していても請求できる場合もある
逆に、古くから継続して借りている場合、すなわち、古いローンカードで借り続けている場合には時効が生じておらず、過払い金を請求できる可能性もあります。
すなわち、完済さえしていなければ、貸金業法改正から10年以上経過していても過払い金は戻ってくるのです。それは、貸金業法改正後に利息制限法内の金利に切り替えていても完済処理がおこなわれていなければ、それ以前の過払い金は返還請求をすることは可能なのです。詳しく見ていきましょう。
現在の借入の過払い金の有無は借り始めた時期によって違ってくる
過払い金返還請求は、現在の借入金利が利息制限法以内であることとは直接関係しません。利息制限法内に下げる前に借りていたお金に過払い金が発生していれば、途中で完済さえしていなければ、返還請求はできます。
逆に、古くから利息制限法を超える高い利率で借りていた場合には、過払い金を元本に充当していくとかなり前に元本を返済し終わっている可能性が高いのです。元本がなくなった以降の利息返済額はすべて返還対象になります。
例え、2006年以降に完済処理をされずに金利だけを引き下げてもらっていたとしても、もともと返済対象となる元本がないため、利息制限法内での利息支払い分も戻ってくるのです。
貸金業法の改正以後の借入は過払い金の対象にはならない
ただし、利息制限法内への金利引下げ後に新たに借りた分に対する利息は対象にはなりません。したがって、現在まで昔から継続して借りてはリボ払いで返済している場合には非常に複雑な過払い金の計算が必要になります。
すなわち、旧貸金業法での高い金利で借りていた過払い金で元本が充当完了している場合、その戻るべき過払い金は、改正以後の利息制限法内の借入に対する利息とは関係なく、すべて返還対象になるのです。
ただ、そのような場合には、恐らく自分で計算することはかなり難しいと言え、法律事務所などの専門家に依頼して時効の検証や過払い金の計算を依頼したほうがよいでしょう。
貸金業法改正後も契約更新をせずに借り続けている場合
2006年の貸金業法の改正で利息制限法以下での融資はできなくなっていますが、契約更新をせず、金利を利息制限法以下に切り替えていない方もいます。契約を切り替えていないということは、消費者金融などの貸金業者は従来の高い利息を請求しています。
大手消費者金融の有価証券報告書などには、金利帯別の貸付件数・金額が報告されていますが、そのなかでは今でも利息制限法の法定金利を越えた貸付がわずかですが存在しているのです。
したがって、貸金業法改正以後でも従来の借入を継続して過払い金が発生し続けている方もいます。その場合には過払い金の金額は数百万円に達する場合も多いのです。
貸金業法の改正以後に新しい金利に利息制限法の低い金利に切り替えた場合の過払い金
ただ、消費者金融では契約切り替え時に一旦完済の上で新たな契約を結ぶように提案しているケースが多くなっています。その場合には、その契約切り替えの完済時点から10年が経過すると過払い金の請求権利は時効で消滅しています。
その意味で、いつ新たな金利に切り替えたのかが過払い金請求においては大きなポイントになる可能性があるのです。切り替えの方法によっては過払い金の時効時期が変わってきます。
業者から取引履歴を取り寄せて、法律事務所などの専門家に相談してみるのがよいでしょう。
過払い金は10年以上前のものでも請求できるかのまとめ
2006年以前に29.2%などの高い金利で消費者金融などから借りていた場合には、それを2010年より前に完済していれば、過払い金の返還請求はできません。しかし、完済時期から10年経過していなければ、過払い金の返還請求は可能です。
すなわち、完済時期が2012年という場合には過払い金が残っている可能性があります。
ただ、過去の借入でいつ完済したかが記憶にないという方も多く、基本的には借りた覚えのある貸金業者に取引履歴を取り寄せて確認してみるのがよいでしょう。