カード破産とは?したらどうなるのか?事例とともに解説
カード破産とは?したらどうなるのか?事例とともに解説
クレジットカードを使い過ぎて返済ができなくなった場合のことを「カード破産」ということがあります。
このような状態になると、どのような事態が待っているのか、適切な対応方法はどのようなものになるのでしょうか。
このページではカード破産という状態と、適切な対応方法についてお伝えします。
1.カード破産とはどのような状態を指すのか
まず、「カード破産」というのは法律上定義されたものだったり、法律用語ではなく、一般的にクレジットカードを利用しすぎて借金が返済できなくなった場合をいいます。
このような状態になると、どのような事態になるかを確認しましょう。
1-1.クレジットカードの返済日に返済ができないと督促が始まる
クレジットカードはカードごとに毎月の返済日が設定されています。
返済日に返済ができないと、法律上は債務不履行という状態になります。
といっても、土日や祝日を挟んで処理が遅くなったり、うっかり失念するようなこともあるので、1日2日の滞納で厳しい取り立てが始まるというわけではありません。
カード会社も最初は電話で返済を忘れていないか電話で確認する程度です。
しかし、連絡がとれず、返済もされないような状態になると、いよいよ返済ができなくなっているとカード会社に判断されます。
そうなるとカード会社は本格的な督促を始めます。
電話連絡のみならず書面を利用するので、カード会社からの郵送物が送られてくることになります。
1-2.信用情報機関に延滞していることが登録されブラックリストに
このような状態になってもカード会社に返済を行わなければ、延滞していることが信用情報機関に登録されます(事故情報)。
このことをブラックリストと呼んでおり、以後は新たに借り入れをしたり、クレジットカードを作ることができなくなります。
1-3.遅延損害金が付加される・期限の利益を失い一括請求がされる
カードを利用した際に返済が遅れると、利息とともに遅延損害金が付加されることになります。
返済が遅れれば遅れるほど、遅延損害金がどんどんかさみ、返済が厳しくなります。
またこのころになると、期限の利益を失い、一括請求を受けることになります。
借金や立替金については、毎月の返済をきちんとしていれば、元金を突然一括で返済してください、と請求されても拒むことができます。
このような債務者側の利益を期限の利益と呼んでいるのですが、返済ができなくなっているような場合には期限の利益をカード会社が喪失させることができます。
「分割で支払いができなくなっているのにどうして一括で請求できるようになるのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これによって残金すべてについて裁判を起こすことが可能となるからです。
1-4.裁判・強制執行へ
返済できない状態が長期間続くと、いよいよ裁判を提起されます。
当然ですが、借りているものは返さなければならず、この裁判は原告であるカード会社の請求が認容される形で終了します。
裁判に負けてもまだ払わないような場合にはカード会社は強制執行をしてきます。
「強制執行もなにも差し押さえる財産なんか無い」と思う方も多いと思うのですが、カード会社と契約する際に勤務先の申告は必ずします。
給料は債権として全額ではないのですが差し押さえの対象になります。
具体的には33万円以下の額については1/4が、33万円をこえる部分については全額が差し押さえの対象になります。
給与が差し押さえられると、差し押さえの対象となる部分については、会社は裁判所から指定された口座に直接振り込む必要があります。
この口座の差し押さえは完済となるまで続くものです。
会社には差し押さえの事実が知られる上に、手取りも大きく減るので、生活はより一層厳しくなります。
2.カード破産と自己破産はどう違う?対応策は?
ではカード破産の状態になると自己破産なのでしょうか、対応策は無いのでしょうか。
2-1.自己破産は債務整理の一つの手続き
同じ「破産」という言葉を使っていますが、自己破産は債務整理の一つの手続きにすぎません。
債務整理をする場合には、どの程度の借金があり、返済をどれくらいできるのかによって、適切な方法があるので、あきらめないで相談をすることが重要です。
以下対応策としての債務整理について詳しくみてみましょう。
2-2.カード破産状態の対応策である債務整理には主に3種類がある
カード破産状態の対応策である債務整理には、主に3つの種類の手続きがあり、その人の状態に応じて適切な手続きを利用します。
主な3つの手続きには
任意整理
自己破産
個人再生
があります。
それぞれ特徴を見てみましょう。
2-3.任意整理とは
任意整理とは、債権者と交渉をして、返済を楽にしてもらう手続きのことを言います。
カード破産の原因となるのは、利息の支払いが重いことにあります。
任意整理によって、利息の支払いをカットして、元金のみを分割して支払うことになるので、これによって返済がかなり楽になります。
また、カード会社への返済が遅れていて遅延損害金が発生しているような場合には、遅延損害金をカットしてもらうことも可能となりますので、返済が遅れている場合にも有効です。
ただし、元金は分割返済しなければならないので、それなりの返済能力は必要となります。
2-4.自己破産とは
自己破産とは、裁判所に申し立てて、資産を整理して債権者に平等に配当を行い、残ったものについては免責してもらう手続きを言います。
法律上は資産を整理する手続きではあるのですが、生活に必要な資産については手元においておくことができるので、個人が自己破産をするような場合にはまず配当に回すようなものはないことがほとんどです。
名前から抵抗感がある方も多いのですが、カード会社等への返済義務などについて免責をしてもらうことができる非常に強力な債務整理手段になり、多くの人がこの手続きによって生活を取り戻しています。
2-5.個人再生とは
個人再生とは、裁判所に申し立てをして、債務総額に応じて債務を法律で規定された所定の額に減らしてもらって、分割して返済していく手続きを言います。
この手続きは、任意整理をするための支払いができないような場合で、住宅ローンの返済をしている場合や、自己破産をすると職業制限がある場合に利用されることが多いものです。
住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、自己破産をすると住宅ローン債権者も含めて手続きをする必要があり、そうなると住宅は競売にかかってしまいます。
個人再生は住宅ローンは手続きに含めないで、債務整理をすることができるので、住宅を維持することが可能です。
また、自己破産をすると、申し立てた方は手続き期間中、警備員・宅建士・保険募集人などの一定の資格について登録できなくなります。
このような方でも個人再生を利用すれば仕事をつづけながら債務整理をすることが可能です。
3.カード会社と債務整理をする際にはカードで購入した物についての取り扱いに注意
カード破産の状態になった原因として、貴金属・ブランド物などを購入し過ぎた、ということも多いです。
この場合の注意点としては、購入した物については、カード会社が引き上げて売却してしまうことができる権利があり、カード利用者は自由に売却することができません。
生活費の足しにするなどで、換金してしまった場合には、換金行為として問題になる可能性がありますので、返済ができない場合にこれらのものの取り扱いについては、債務整理をする弁護士・司法書士などの専門家とよく協議をしましょう。
4.まとめ
このページではカード破産になるとどうなるかとその対応策についてお伝えしました。
その状態を放置すると給与を差し押さえられてさらに生活ができなくなる可能性がありますのが、債務整理によってうまく生活を立て直すことが可能ですので、まずは専門家に相談してみましょう。