過払い金請求するとブラックリストに載るのは本当なのか?載らない方法はあるのか?
過払い金請求をしてみたい…そう思って弁護士や司法書士のホームページを見ていると「ブラックリスト」という物騒な言葉に行き当たった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
過払い金の請求をして、ブラックリストに登録されるのは避けたいものです。
このページでは、過払い金請求とブラックリストの関係についてお伝えします。
1.過払い金請求とは
まず、過払い金請求とはどのようなものでしょうか。
1-1.消費者金融に払い過ぎていたお金を取り戻すのが過払い金請求
過払い金請求とは、消費者金融に払い過ぎていたお金を取り戻す手続きです。2010年6月1日に改正された出資法が施行されるまで、利息の上限を定める利息制限法と出資法の間には、上限利息に差がありました(2010年5月31日までは、利息制限法の上限が20%で出資法は29.2%)。
出資法は民事の効力を定めており、出資法は刑罰について規定をしているので、刑事罰にならないように出資法だけが守られていました。そのため、利息制限法に違反しているけども、出資法には違反していない、いわゆるグレーゾーン金利で貸し付ける業者がたくさんいたのです。
このような貸付について最高裁まで争われ、利息制限法を超える利息は無効としました。
そのため、利息制限法以上の借り入れ部分については払い過ぎということになり、その分を返してもらうことが可能となったのです。これが過払い金請求です。
1-2..過払い金請求は債務整理が得意な事務所が行っている
「ブラックリスト」について目にする機会があるのは、過払い金請求は債務整理が得意な事務所が行っているためです。
債務整理とは借金返済が難しくなったときに、法律的な手段によって借金を免除してもらったり、減額してもらうものです。
借金の申し込みの際に個人情報を入力しますが、返済が滞った経験や自己破産などその個人の信用情報に「事故情報」が登録されていると、借金・クレジットカードをつくることに対して審査が下りなくなります。
このことをブラックリストと呼びます。
過払い金請求をするための手続きは、債務整理の任意整理とよく似ており、債権者に取引履歴を請求してこれを計算しておこなっています。
過払い金請求の対象にならない債務があることもありますので、債務整理が得意な弁護士・司法書士の事務所に相談・依頼して行うことが通常です。
3.過払い金請求をするとブラックリストに載るのか
過払い金請求をするとブラックリストに載るのでしょうか。
どのようなタイミングで過払い金請求をするかによって異なるので、ケースを分けて考えてみましょう。
3-1.過払い金請求をすることができる状況であればブラックリストには載らない
まず、一般的にどのような状態であればブラックリストには載らないのか確認しましょう。
ブラックリストに載らないためには、請求をしてきちんと過払い金を受け取れる状態であった場合、つまりすでに債務はなかったといる場合である必要があります。
過払い金請求をしようと思っても、実は債務が存在したような場合には、ブラックリストに載ります。
3-2.完済をしている会社であればブラックリストに載らない
すでに完済をしていて、債務を負っていない会社に対して過払い金請求をする場合には、債務は無いのは明白なので、ブラックリストに載らずに請求することが可能です。
ただし、信販会社から借り入れをしている際に、キャッシングの残高を完済しても、ショッピング残高が残っている場合には、両者を分けて過払い金請求のみはできませんので注意が必要です。
これと同様に、使っているカードがいくつかあるような場合でも、すべてを完済している必要がありますので同様に注意しましょう。
3-3.現在残高があっても過払いの方が多ければブラックリストには載らない
現在残高があるような場合でも、過払い分のほうが多い場合にはブラックリストには載りません。
つまり、現在の残高が20万円で、過払い分が30万円あって、10万円の過払い金請求をすることができる場合には、ブラックリストには載りません。
これは、契約上は残額がある状態ですが、法的な評価をすると債務はすでにないと判断できるため、ブラックリストには載せないということになるためです。
この場合でも、途中で完済をして1年以上取引期間が開いているなどして、取引が複数に分断して計算され、その一部が時効として請求できなくなっている場合に注意が必要です。
つまり、すべてを一つの取引として見ると30万円でも、一度完済をして取引が2つと評価され、一つ目の取引が時効にかかっているような場合、例えば過払い分が15万円となってしまうような場合には、過払いとなっているわけではなく、残高があるといえます。
そのため、このような場合にブラックリストとなるのです。
3-4.過払いはあっても残高の方が多いとブラックリストに載る
過去に過払いとなっていた部分があっても、現在借り入れをしている残高のほうが多いような場合には、債務が現在もあることになるので、ブラックリストとなります。
4.ブラックリストに載らないためには
では、過払請求にあたってブラックリストに載らないためには、どのような対応策が考えられるでしょうか。
4-1.完済をしてから過払い金請求をする
一番確実な方法は、現在ある借金を完済してから過払い金請求をする方法です。
仮に過払い金がまるごと時効と評価されたとしても、残高も無いのでブラックリストには載りません。
4-2.先に過払い金の調査をする
先に過払い金がいくらなのかの調査だけを行うことができます。
過払い金の調査は、貸金業者から取引履歴を取り寄せて、その内容を引き直し計算をしておこないます。
過払い金がいくら発生していたかを調べるためには、いつ、いくらを借りたのか、いくらを返したのか、という情報をすべて把握していないと行うことができません。
過払い金が最期に発生していたのは、出資法の上限利率が今の利率になる2010年6月1日以前のことになりますので、10年以上前の毎月の取引を細かく覚えている・資料を残している、ということは期待できません。
通常は、貸金業者が保管している取引履歴を取り寄せ、そこに記載されている記録を、引き直し計算シートというパソコンの表計算ソフトに入力して、過払い金の計算を行います。
引き直し計算シートには、あらかじめ計算に必要な計算式が入力されており、取引履歴に記載されている日時、借りた金額、返済した金額を入力すれば、過払い金がいくらか計算できるようになっています。
先にこれで調査をした上で、残高がなくなるといえる場合に請求すると安全です。
4-3.ブラックリストに載ってでも借金返済は楽になる
今すぐ過払い金の請求をしたかったけども、請求はできず、ブラックリストに載ってしまう…と残念に思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ブラックリストに載ってしまうと、上述したように借金やクレジットカードをつくることなど、生活に制約が生まれます。
しかし、クレジットカードについてはVISAデビットが使えるなど、不便でも別の手段はあります。
借金はできなくなりますが、返済を一時停止して、借金を減らして返済をできたり、そもそも借金を免除してもらうこともできます。
債務整理によって借金を減らすことも、積極的に考えてみてください。
5.まとめ
このページでは、過払い金請求とブラックリストについてお伝えしました。
債務がないとして過払い金請求をすることができる場合には、ブラックリストに載りませんが、過払い金請求のつもりでも債務がある場合にはブラックリストに載ります。
今の状況にあわせた対応策を弁護士と相談してみてもよいでしょう。