過払い金CMは怪しいと思われているのはなぜか?似たCMが多い理由や過払い金の実際について
「過払い金のCMって何か怪しい」と感じている人も多いのではないでしょうか?
たしかに過払い金のCMは「着手金無料」「借金が貯金に」などのフレーズを強調しており、話が上手すぎるので怪しいと感じる人が多いのも分かります。
過払い金のCMがなぜ怪しいのか、そして本当にCMみたいに高額のお金が返還されることはあるのか、データから読み解いていきましょう。
過払い金CMが怪しいと思われる理由
過払い金CMが怪しいと思われる理由は簡単に言えば話が上手すぎるからです。
過払い金CMではあまりにも高額の金額を取り戻すことができた人の事例が紹介され、借金で苦しんでいた人にとっては夢のような話が強調されています。
この上手い話こそが過払い金が怪しいと思われる最大の理由です。
過払い金CMが怪しいと思われる理由についてさらに詳しく考えていきましょう。
取り戻すことができた金額が莫大
過払い金CMでは、消費者金融から過払い金請求によって取り戻すことができた金額が強調されています。この金額はかなりの高額です。
例えば「借金返済に悩んでいたAさん、過払い金請求で200万円も取り戻すことができました」
10万円や20万円であれば「取り戻すことができる」と言われれば納得できますが、200万円とか300万円などの3桁の数字になると「本当か?」と疑ってしまう人が少なくありません。
どんなジャンルでも「お金がただで手に入ります」という謳い文句は怪しいと思われるものです。
過払い金CMでは取り戻すことができる金額が大きく、無料で手に入るというイメージであるため怪しいと感じる人が多いようです。
借金が貯金になるというイメージが怪しい
過払い金CMでは「借金が貯金になる」というイメージで広告しています。
そもそも借金に苦しんで消費者金融からお金を借りていた人(借りている人)に急に数百万円の貯金ができるというのは、これだけでやはり怪しいと言えます。
なんとなく、お金に困っている人を狙った詐欺のようなイメージを持ってしまうので、過払い金に対して知識がない人や、借金をしたことがない人は特に過払い金CMに対して「怪しい」という印象を持ってしまうことが多いようです。
過払い金CMに似たものが多い理由
そもそも過払い金CMは各社似たようなものが多くなっています。
その理由としては以下のようなことを挙げることができます。
- 相談料無料で門戸を広げるため
- お金に困っている人に気づきを与えるため
過払い金CMが同じようなものになっている理由について詳しく見ていきましょう。
相談料無料で門戸を広げるため
ほとんどの過払い金CMで共通して謳われていることが「相談料無料」です。
過払い金請求を広く行なっている弁護士事務所や司法書士事務所の多くが相談料は無料として、「誰でも気軽に相談をすることができる」環境を用意しています。
過払い金請求ではまずは過払い金を抱えているかもしれない人に相談に来てもらわないとビジネスになりません。
そのため「相談料無料」「まずは無料相談」などの文言を強く強調するという点については、どの過払い金CMでも強調されています。
お金に困っている人に気づきを与えるため
そして、過払い金請求のCMではCMの大部分の時間を「実際に取り戻すことができた人の事例」に割いています。
これは同じように借金の返済に悩んでいた人(悩んでいる人)に「自分にも過払い金があるかもしれない」という気づきを与え、次の行動を促すためです。
過払い金請求では、過払い金を払っていた可能性のある人が「自分にも過払い金があるかも」と気づくことがスタートです。
気づいたことによって弁護士事務所などに相談に行き、過払い金請求を実際に行うという流れになります。
まずは過払い金を払った可能性がある人に気づいてもらわなければ何も始まりません。
そのため過払い金や借金とは何も関係のない人から見れば「怪しい」と思われるほどCMで返還事例を強調し、借金に悩んでいた(いる)人だけに向けて「自分にも過払い金があるかも」と気づかせるように広告しています。
過払い金返還事例を強調しているという点も、過払い金CMで共通しているポイントです。
過払い金の実際
実際に過払い金CMのように高額のお金を取り戻すことなどできるのでしょうか?
結論的に言えば過払い金CMの返還事例は大袈裟でも何もなく、実際に平均的に100万円を超える金額が返還されています。
アコムは定期的に過払い金返還についての詳細を発表しています。
業界最大手のアコムにおける1件あたりの返還金と、返還率を詳しくご紹介していきます。
アコムの過払い金は1件あたり約135万円
アコムが毎年公表している決算資料「2020年3月期 第2四半期決算プレゼンテーション資料」には過払い金の返還実績も記載されています。
この資料によると、2019年のアコムの利息返還金(過払い金返還)の累計は365億86百万円で、請求件数が27,100件となっています。
請求1件あたりの返還金額は約135万円ということになります。
つまり、CMで広告されている「過払い金で200万円返還された」などの事例は大げさではなく、実際に平均的に100万円以上は返還されているのです。
参考:https://pdf.irpocket.com/C8572/D5nz/ndDr/ILru.pdf
グレーゾーン金利帯でお金を借りた時の利息
過払い金とはいわゆるグレーゾーン金利でお金を借りた時に支払った利息のことです。
なお、グレーゾーン金利とは、利息制限法〜出資法の上限金利(25.2%)の間の金利帯のことを指します。
以前の法律では利息制限法と出資法で異なる上限金利が設定されていたため、利息制限法を超えて出資法の上限金利以下の金利は法律のグレーゾーンだったことから「グレーゾーン金利」と呼ばれていました。
では実際にグレーゾーン金利帯での上限金利である25.2%と、利息制限法の上限金利である18.0%(100万円以上は15.0%)でお金を借りて10年間で完済した場合の支払い利息の比較を行なってみましょう。
借入額 | 利息制限法の利息 | 出資法の利息 |
10万円 | 116,240円 | 174,468円 |
50万円 | 581,015円 | 873,263円 |
100万円 | 935,960円 | 1,746,799円 |
出資法の利息−利息制限法の利息が過払い金になります。
上記の事例でも100万円借りた場合で約81万円の過払い金が発生しています。
当時は出資法の上限金利を超えるような金利設定を行なっていたこともざらにあったため、実際には100万円以上取り戻せる事例は数多くあるのです。
アコムの過払い金返還率
アコムの過払い金返還率は以下のようになっています。
交渉:80%
裁判:100%
裁判を行わない限りは、請求した過払い金は満額戻ってくるわけではありません。
そして一般の人は裁判まで行うことはほとんどないので、基本的に過払い金請求は交渉で行います。
交渉は弁護士や司法書士などの専門家へ相談した方が成功しやすく、取り戻すことができる金額も多くなります。
過払い金請求を検討しているのであれば、まずは相談無料の専門家へ相談するようにしましょう。
まとめ
過払い金請求のCMが多くの人に「怪しい」と思われてしまうのは、そのCMが借金を抱えている人やその家族のみをターゲットにしているためです。
高額な返還事例を見ると「本当か?」と疑ってしまう人も多いかもしれませんが、実際に最大手のアコムでは1件あたり130万円以上もの過払い金を返還しています。
「過払い金があるかもしれない」と考える人は、まずは相談するようにしましょう。