債務整理をするとブラックリストにのる?新しくローンを組むことができるまでの期間は?

借金返済に困っているけども債務整理にはちょっと二の足を踏んでしまう…そのように考えていらっしゃる方の中には、「ブラックリスト」が怖いという人も多いのではないでしょうか。

債務整理のデメリットとして知られるブラックリストですが、名前だけにこれによって人生に大きな悪影響を与えてしまうような印象をお持ちの方も多いのです。
確かに、従来通りの生活をそのまま送ることができるわけではありませんが、不便になってもほとんどの人が問題なく暮らしています。

このページでは、ブラックリストとはどのようなものかと、その期間についてお伝えします。

1.ブラックリストって何?何ができなくなるのか

まず、そもそもブラックリストというのはどのようなものでしょうか。

1-1.ブラックリストとは

ブラックリストとは、信用情報に事故情報が記載された結果、新たな借り入れやクレジットカードを作るなど、信用情報によっておこなう与信がされない状態をいいます。

貸金業者からお金を借りる際には審査があるのですが、その審査の際に貸金業者が加盟している信用情報機関で信用情報の照会を行います。
この信用情報には、今どのような借り入れを行っているかを見ることができ、貸し付け上限になっていないか(いわゆる総量規制)などを参照して、貸し付けに問題がないかを確認します。

債務整理や延滞をすると、その旨の情報が「事故情報」として登録されることになり、事故情報を見た貸金業者は貸し付けを行わなくなります。

この状態がブラックリストと一般に呼ばれています。

ブラックリストと呼ばれていますが、実際に何か特別なリストで管理をしているわけではなく、事故情報が登録されているにすぎません。

1-2.どうやったらブラックリストに登録されるのか

先ほど少し述べたのですが、何をしてしまうとこのブラックリストに登録されてしまうのかを確認しましょう。

1-2-1.延滞

借金をすると、利息と併せて分割して毎月返済をする必要があります。
延滞といっても、土日や祝日で入金の処理がされなかったり、うっかり返済日を忘れていたというような場合もありますので、延滞してただちにブラックリストに登録されるわけではありません。
しかし、1~2ヶ月程度延滞すると、返済できない状態であると確認できますので、ブラックリスト登録となります。

1-2-2.債務整理

債務整理をすると、ブラックリストに登録となります。
債務整理を弁護士・司法書士に依頼をすると、どの手続きでも債権者に弁護士・司法書士が依頼を受けた旨の通知を送ることになります(受任通知)。

これは、弁護士・司法書士が債務整理に介入した段階で、貸金業者は本人に対する督促をストップしなければならず(貸金業法21条9号)、そのことを知らせる通知です。

これに応じて貸金業者は事故情報を登録することになっています。

1-3.「ブラックリストに載りたくないから債務整理はしない」は正しいのか

後述するように、新たな借り入れやクレジットカードを作ることなど、ブラックリスト登録によって様々な影響が生じます。

借りては返してを繰り返している、クレジットカードの空いた枠は生活に必要なものの買い物に不可欠などで、ブラックリストに登録となりこれらの行為ができなくなると、生活ができないという意識になります。

その結果、債務整理はしないという選択をする方も多いのですが、これは正しくありません。

というのも、前述の通り、延滞をしてもおなじくブラックリストへ登録となります。
債務整理が必要な状況で頑張っていても、いずれ借金の支払いができなくなってしまい、延滞してブラックリスト入りとなるのです。

債務整理を始めるとすぐに返済をする必要がなくなりますので、給与が入った後などのしかるべきタイミングで債務整理をするのが良いでしょう。

2.ブラックリストに登録されると何ができなくなるのか

ではこのブラックリストに登録されると、何ができなくなるのでしょうか。

2-1.信用情報で審査をするお金の借り入れ

まず、上述したように信用情報で審査を行うお金の借り入れができなくなります。
消費者金融や銀行はもちろん、住宅ローンや自動車ローンといったものも含まれる、貸金業者による貸付はほとんどができなくなります。

中にはブラックリストへ登録されている人でも貸付を行うところもあるのですが、そのような会社は債務整理をしようとしても非常に強硬な態度をとるため、注意が必要です。
なお、信用情報を利用しない貸付については可能なので、親族・友人から借りる、生活福祉資金貸付のような公的な借り入れは可能です。

自動車が欠かせない地域に住んでいらっしゃる方は車の購入・車検をローン利用する方も多いと思うのですが、これらはお金を貯めて利用するようにしましょう。

2-2.クレジットカードの発行・更新

クレジットカードはお金を貸し付けするわけではないのですが、与信をする点では変わりません。
そのため、クレジットカードの申し込みをしても、審査が通らなくなります。

ここで注意が必要なのは、クレジットカードは利用したい…と任意整理でクレジットカードは任意整理をしなかったとしても、次に更新をする際に信用情報を確認されて利用できなくなります。
クレジットカードを使えなくなるとインターネットで安いものを買い物できない、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、デビットカードなどの前払い式のものもありますので、お金を先に入れるなど不便にはなるものの、一切使えなくなるわけではありません。

2-3.スマートフォン・携帯電話の分割購入

スマートフォンや携帯電話を分割購入する際にも信用情報は確認されます。
そのため、分割でのスマートフォンや携帯電話の分割購入もできません。
ただし、一括での購入や、新たな契約は可能ですので、機種変更が必要な場合にはお金をためて購入をしましょう。

2-4.ETCカード

高速などの有料道路を使われる方はETCの利用が一般的になってきています。
ETCを利用するためにはETC用のカードが必要ですが、これもETC利用のために限られているとはいえ、クレジットカードと同様ですので、利用できなくなります。

ただし、こちらもデポジット式のETCパーソナルカードなどの代替手段があります。

2-5.公民権が停止になる・就職できなくなるなどということはない

ブラックリストという名称が原因で、債務整理をすると公民権(選挙権・被選挙権を併せた名称)が停止になる、就職ができなくなる、と思ってしまう方もいらっしゃいます。

たしかに、自己破産手続きでは資格制限がされることがあったり、住所制限があったりしますが、公民権が停止になったり、就職が全くできなくなるようなものはありません。

実際にブラックリストで不便にはなっても生活が全く成り立たなくなるようなことはありませんので、心配であれば弁護士・司法書士に相談してみましょう。

3.ブラックリストの期間は最長で10年

ブラックリスト登録対象となっても、その期間は永遠ではなく限りがあります。
債務整理の手続きの種類にもよるのですが、おおむね5年~10年で事故情報は消去されます。
任意整理では5年~7年、自己破産・個人再生では7年~10年です。

かなり長い期間このような状態におかれますが、借り入れに頼らない生活も身につくことになるでしょう。

4.まとめ

このページでは、債務整理をする際のデメリットであるブラックリストについてお伝えしてきました。
ブラックリストが生活に影響する方も多いのですが、全く生活ができなくなるわけではありません。
影響の大小はその人の生活にもよりますので、まずは弁護士に相談をしてみましょう。