債務整理の費用の平均はどれくらい?安くするためのコツはあるのか

借金返済が厳しくなってきたときに債務整理を利用したい、そう思っても費用がどれくらいかかるのか、ということが気になる方も多いのではないでしょうか。

お金がないからこそ必要な債務整理ですが、弁護士に依頼する費用はやはり気になります。

このページでは債務整理の費用の平均的な数字と、安く依頼するコツなどについてお伝えします。

 

1.債務整理の費用についてのルール

まず、債務整理の費用についてのルールを確認しましょう。

 

1-1.弁護士の報酬は自由に設定してよいのが原則

弁護士の報酬の決め方については、かつては報酬規程というものがありましたが、現在では自由に設定して良いことになっています。

 

1-2.債務整理については上限が設定されることになった

弁護士費用が自由化されたころに弁護士広告も同じように自由化され、債務整理(特に過払い金請求)についての広告が一般に広がり始めました。

その結果、債務整理案件特に過払い金請求について不適切な報酬の請求が相次いだため、弁護士会では債務整理について一部の業務の報酬に上限を設けました。

この上限が報酬の平均や相場に影響を与えていることを知っておきましょう。

 

1-3.費用についての細目について

債務整理にかかる費用といっても細かく次のような費用にわかれます。

 

1-3-1.相談料

債務整理手続きをするにはまず相談を行います。

法律相談は弁護士や認定司法書士に対して行いますが、このような国家資格をもっている専門家に相談を行う際には相談料がかかります。

 

1-3-2.着手金

債務整理の相談をして債務整理を依頼する際に、弁護士が仕事にとりかかるにあたって着手金が必要になります。

 

1-3-3.解決報酬金

任意整理・過払い金請求をする際に、案件が解決したときに支払うことになる報酬です。

任意整理・過払い金請求をする際には、1件解決するごとに発生します。

 

1-3-4.減額報酬金

任意整理・過払い金請求をする際に、元金が減額したときに支払うことになる報酬です。

同じく1件解決するごとに発生するものです。

 

1-3-5.過払金報酬金

過払い金請求をして、過払い金を返してもらったときに支払うことになる報酬です。

多くの場合は返ってきた過払い金から報酬を差し引いて依頼者に返還されます。

 

1-3-6.実費

自己破産・個人再生など、裁判所に申し立てをする際にかかる印紙代・切手代などの費用です。

 

2.債務整理のメニューと平均的な報酬について確認

それでは債務整理の平均的な報酬について確認しましょう。

 

2-1.債務整理の方法によって大きく異なる

「債務整理」と一口にいっても、債権者との交渉をする手続きである任意整理と、裁判所への申し立てをする自己破産では、かかる手間が大きく異なります。

そのため、個別の債務整理の方法についての概要を確認した上で費用がどの程度かかるのかを確認しましょう。

 

2-2.任意整理

まずは任意整理について見てみましょう。

 

2-2-1.任意整理とは

任意整理は、貸金業者1社1社と借金の返済について話し合って、返済を軽くしてもらう手続きのことを言います。

過払い金請求と同様で、他の債務整理手続きと異なるのは、1社1社と個別に交渉をする点にあります。

そのため、弁護士費用の計算も、交渉を必要とする会社ごとに行うことになります。

 

2-2-2.任意整理の報酬の上限

任意整理には次の3つの項目で上限があります。

  • 解決報酬金:1件あたり2万円
  • 減額報酬金:減額した額の10%
  • 過払金報酬金:取り戻した額の20%(訴訟をした場合には25%)

この水準を超えているような事務所とは契約しないようにしましょう。

 

2-2-3.任意整理の報酬の平均

任意整理の平均的な報酬は5万円×債権者数と考えましょう(例:3社と任意整理をする場合には15万円)。

内訳としては

  • 相談料は無料
  • 着手金3万円
  • 解決報酬金2万円
  • 上記に借り入れが2010年6月以前のグレーゾーン金利がある場合には加算

借金問題に関しては相談料を無料にしていることが多いので相談料はかかりません。

減額報酬・過払金報酬金は、利息制限法以上出資法未満のいわゆるグレーゾーン金利での借り入れをしていた(2010年6月17日以前)場合に発生するもので、現在ではあまり発生するものではないので、着手金・解決報酬金のみが発生することがほとんどだからです。

長期間借り入れをしているような場合には、減額・過払い金を取り戻すということが発生しますので、その分弁護士費用もかかります。

任意整理は裁判所への申し立ては発生しませんので実費はかかりませんが、返済できなくなっている期間が長くなっているなどで、訴訟をされた場合には、弁護士が対応する費用がかかります(1回の出廷あたり1万円程度)。

 

2-3.自己破産

次に自己破産について見てみましょう。

 

2-3-1.自己破産手続きの概要

自己破産手続きは、すべての債権を裁判所に届け出て申し立てをして、手続後に借金を免除してもらう債務整理方法です。

裁判所への申し立て・その後の裁判所・管財人との対応という事務作業が発生するものになるので、これに対応する費用が発生します。

自己破産手続きには管財人が選任される少額管財と、管財人が選任されないで簡易に終わる同時廃止があり、どちらの手続きになるかで管財人への予納金の額が変わります。

自己破産手続きは、上限に関する規定がないので、費用の平均を確認しましょう。

 

2-3-2.自己破産の平均的な費用

自己破産手続きは1件あたり20万円~80万円程度かかります。

まず、同時廃止の場合には次のような費用がかかります。

  • 相談料は無料
  • 弁護士費用は15万円~30万円
  • 実費は5万円~50万円

まず、同時廃止の場合には、印紙代・切手代・官報公告費用などの実費がかかり、5万円程度の出費があります。

弁護士費用としては15万円以上となっていて、分割で支払うことが可能です。

少額管財になる場合には、管財人とのやりとりが発生するため弁護士費用も高くなり、20万円以上かかります。

少額管財になる場合にはさらに引継予納金とよばれる金銭の支払いを管財人に行わなければなりません。

これには東京地方裁判所で申し立てをする場合に20万円でよい裁判所と50万円程度かかるところもありますので注意が必要です。

 

2-4.個人再生

最後に個人再生の費用の相場を確認しましょう。

 

2-4-1.個人再生の概要

個人再生は、裁判所に申し立てをして、債務を減額してもらって分割して支払っていく手続きです。

裁判所に申し立てをした上で、返済に関する再生計画を作成するという作業があり、債務整理の中でも一番やることが多いので、費用も高くなります。

個人再生についても弁護士会の上限規定はないので、以下平均的な額について確認しましょう。

 

2-4-2.個人再生の平均的な報酬

個人再生については30万円~80万円程度の報酬が必要です。

その内訳は次の通りです。

  • 弁護士費用:無料
  • 弁護士報酬:25万円~35万円
  • 実費:10万円~45万円

個人再生についても裁判所に対する申し立てをするにあたって、印紙代・切手代・官報公告費用がかかります。

また、再生委員という役職の人が裁判所からつけられることがほとんどで、その人への報酬もかかります。

そういった額をあわせると30万円~80万円程度の費用がかかり裁判所次第となります。

 

3.債務整理の費用を下げるコツ

債務整理の費用を下げるコツはどのような点でしょうか。

実費に関しては下げようがないのですが、弁護士費用に関しては法テラスによる民事扶助を受けられると、生活保護を受けているような場合は0円に、その他の場合は収入に応じて月に5,000円程度の支払いでよくなるようになっています。

弁護士に法テラスが利用できるかどうか確認して、利用できる場合には積極的に利用すると良いでしょう。

 

4.まとめ

このページでは債務整理の費用の平均と費用を下げるコツについてお伝えしました。

裁判所によってかかる費用が違うこともあり、比較が非常に難しいのですが、法テラスの民事扶助などをうまく使って賢く弁護士を利用するのも手です。