債務整理と自己破産の違いを分かりやすく解説!

「借金返済に困っていて、いろんな方法について調べているけど、中身がよくわからない!」という方も多いのではないでしょうか。

借金返済ができなくなった場合に、イメージとしては自己破産というものがあり、良く聞く言葉としては債務整理というものがあって、その違いはいったいなんなんだろう?と疑問に思っている方も多いです。

そこで、このページでは、債務整理と自己破産の違いについてお伝えします。

 

1.債務整理とは自己破産とはその違いは?

まず、債務整理と自己破産の言葉の意味の違いについて確認しましょう。

 

1-1.自己破産とは

自己破産とは、借金返済ができなくなって「支払不能」という状態に陥ったときに、財産を清算して債権者に平等に配当して、借金を免責してもらうものを言います。

この制度は破産法という法律に規定されているもので、後述する債務整理の方法としては最も強力な効果を持っているものです。

 

1-2.債務整理とは

債務整理とは、借金返済ができなくなった場合に、法律的な手段をつかって借金問題を解決しようというものです。

債務整理という法律手続きがあるわけではなく、前述した自己破産をはじめとした借金などの債務の支払いに困ったときに使える方法の中から、その人にあったものを選択して借金問題に対応します。

そういう意味では債務整理というのは様々な手続きの総称のことを言っており、自己破産は債務整理の中の一つということになります。

ですので、自己破産はしたくない、という場合でも債務整理の他の手段を検討して、利用可能であればその手続きを利用することで、自己破産は回避することができるのです。

 

2.自己破産以外の債務整理手段

自己破産以外にはどのような債務整理手段があるかを確認しておきましょう。

 

2-1.任意整理

消費者金融などの貸金業者から借金をすると、返済をする際に利息をつけて返済をする必要があります。

利息制限法の規定によると上限が年利20%となっているので、あまり大きな負担になっていないように考えることも多く、気が付くと毎月利息の返済しかしていないということがあります。

また、返済が遅れると遅延損害金も併せて返済をしなければなりません。

任意整理はそれぞれの貸金業者と話し合って、利息や遅延損害金を免除してもらって、元金を長期の分割で払っていくものです。

自己破産や個人再生のように裁判所を利用した手続きではないので、簡単に利用することができますし、連帯保証人がいる・抵当権がついている・自動車ローンのように引き上げられると困るという場合に、手続から外すことも可能です。

 

2-2.個人再生

自己破産と同じく裁判所に申し立てをする債務整理方法が個人再生です。

借金を大幅に減額した上で分割返済にしてもらえるため、任意整理よりも少ない額の返済ですむようになります。

自己破産をしてしまった方が、借金が免除されるので良いようにも思えるのですが、自己破産手続きでは住宅ローンも一緒に手続きをする必要があるので、自宅を維持することができません。

個人再生は、住宅ローンだけは手続きから分けて返済することができるので住宅ローンを利用している場合でも自宅を維持しながら債務整理ができます。

また、自己破産では警備員・宅建士・保険募集人など一部の資格で仕事をしている人たちが職業制限となります。

個人再生ではそのような職業制限がないので利用しやすいといえます。

 

2-3.借金の時効援用

利用できる場合は限られているのですが、借金は債権者から見ると金銭債権となり、金銭債権は長期間放置すると時効にかかります。

時効についての法律が昨今改正されたので一概にいえないのですが、貸金業者への借金については改正前も後も5年で時効になります。

ただ、時効については期間が過ぎただけで成立するものではなく、時効の制度をつかって借金を返済しません、という意思表示を相手に示す、援用という行為が必要です。

長期間請求がされていない、という特殊なケースでしか利用はできませんが、時効援用によって借金を無くすことができます。

 

2-4.相続放棄・限定承認

自分でした借金でなくても、借金を相続したようなケースもあります。

このような場合に、自分が自己破産しなければならないわけではなく、相続放棄や限定承認という方法が利用できます。

相続放棄は、相続人ではなかったことにする、という取り扱いをしてもらう裁判所での手続きで、利用すれば借金も含めて何も相続しなくなります。

限定承認は、プラスの財産の範囲内でだけ相続をすることを認める制度で、マイナスの債務のほうが多い場合にはそれは引き継ぎません。

これらの手続きを利用することにより、相続でした借金は自己破産をしなくても免れることが可能となっています。

家庭裁判所に対して申述をして行う手続きなのですが、手続には3ヶ月以内という期間制限もあるので注意が必要です。

 

2-5.過払い金請求

利息の上限を定める法律には、取引の効力に関する利息制限法と、高利貸しに刑罰をあたえるための出資法という二つの法律があります。

2010年6月18日に改正された出資法が施行されるまで、出資法のほうが高いという状態だったので、利息制限法以上・出資法未満といういわゆるグレーゾーン金利での貸付が横行していました。

最高裁判所はこれを無効として、払いすぎていた部分については取り戻せるという判決を下しており、この判決に従った請求をすることを過払い金請求と呼んでいます。

借金があるような場合でも、実は返してもらえる場合があり、自己破産をしなくて良い場合があります。

 

3.自己破産が嫌だから債務整理はしない!のは正しくない!

自己破産はしたくない、という理由で弁護士に相談をするのを躊躇する方も多いのですが、よくある考え方と、実際にはどうなのか、について考えましょう。

 

3-1.自己破産をするとブラックリストになるから

まず、自己破産をするとブラックリストになるから、自己破産はしたくないという方が多いです。

ブラックリストというのは、信用情報機関に事故情報が登録されて、お金の借り入れ・クレジットカードを作るといったことができなくなるものです。

返済ができなくなって延滞をすると同様にブラックリストにはなるので、返済が難しくなっているような場合には遅かれ早かれブラックリストとなります。

ブラックリストも永遠ではなく最長で10年で情報は消えますので、早く自己破産をしてしまったほうがいいと言えます。

 

3-2.自己破産をすると官報で周囲に知れ渡るから

自己破産をすると官報に公告がされることになっています。

官報というのは政府が発行している紙面で、法律などの公布や相続人の捜索などの法律上の手続きに使われます。

現実に官報を読んでいる人はほとんどおらず、これが原因で自己破産をしている事実が世間に広まることもありません。

 

3-3.弁護士に相談をしてもかならず自己破産をしなければならないわけではない

上述もしましたが、債務整理の中には自己破産だけではなく、任意整理・個人再生をはじめとしたたくさんの手続きがあります。

借金の総額・収入から考えた返済可能金額によってその人に合わせた適切な手続きを利用することになります。

自己破産を嫌がって債務が膨らめば膨らむほど、とりうる手段も狭まってくるので、早めに相談をするほうが自己破産を回避することができます。

 

4.まとめ

このページでは債務整理と自己破産の違い・関係についてお伝えしてきました。

自己破産は債務整理の一種でありイコールではないことを確認していただき、早めに弁護士に相談するようにしましょう。