債務整理をすることによって住宅ローンにどのような影響を与えるか

借金の返済が厳しくなって債務整理を考えている人の中には、

  • 今住宅ローンを組んで買った住宅が気になる
  • 今後住宅ローンを組めるかどうか気になる

という方も多いのではないでしょうか。

このページでは、債務整理をすると住宅ローンにどのような影響を与えるかについてお伝えします。

 

1.住宅ローンを組む場合の法律関係について確認

まず、「住宅ローンを組む」ということが法律的にはどのようなことを指すのかを確認しましょう。

 

1-1.住宅ローンを住宅取得のための資金を借りる借金

賃貸の場合と同じく住宅ローンを組むと毎月住むための支払いを行うという点では変わりません。

しかし賃貸は、大家の所有している不動産を利用するための賃貸借契約の対価の支払いであるのに対して、住宅ローンは自分が所有者となる住宅を購入するためのお金を借りる契約をいい、毎月の返済は借りたお金の返済ということになります。

 

1-2.住宅ローンは住宅に抵当権を設定する

借金という意味では消費者金融からの借り入れと同一なのですが、消費者金融からの借り入れが30万円~50万円になるのに対して、住宅ローンは何千万円もする買い物になります。

そのため、返済ができなくなった場合に備えた対応策が必要です。

そこで、住宅ローンの返済ができなくなった場合に、所有している家を競売し、その売却代金を返済にあてることができる抵当権という権利が設定されています。

そのため、住宅ローンが支払えない、という状態になったときには抵当権が実行され、所有者は家を出て行かなければならない、ということになります。

 

2.債務整理をすると住宅ローンはどうなるか

以上の前提を踏まえて、債務整理を行うと住宅ローンがどうなるかについて確認しましょう。

 

2-1.任意整理の場合

債務整理のうち、債権者を選んで話し合いをして、返済を軽くしてもらう任意整理を行う場合には、住宅ローンはどのようになるでしょうか。

任意整理は、債権者を選んで支払いに関する交渉を行うものです。

住宅ローンについて任意整理の交渉を行えば、住宅ローン債権者は抵当権を実行することができます。

ただ、任意整理を行うときは、住宅ローン債権者のような介入をすると影響がある債権者を除いて債務整理を行うのが通常ですので、住宅ローン債権者と任意整理をしなければそのまま住み続けることが可能です。

 

2-2.自己破産をすると住宅を退去する必要がある

自己破産は、裁判所に申し立てをして、すべての債権者について申告した上で、債務を免除してもらう手続きです。

この手続きでは、借金などの債務はすべて申告して、すべての債権者に手続きに参加をしてもらう必要があります。

そのため、任意整理や後述する個人再生のように、住宅ローン債権者だけ外して手続きを行うということができません。

ですので、住宅ローン債権者にも手続きに参加してもらうことになり、住宅ローン債権も免責となるので、住宅ローン債権者は抵当権を行使します。

その結果、住宅が競売されるので住宅から退去する必要があります。

この場合には、事前に任意売却を行って引っ越し資金を確保したり、リースバックという方法で買い取ってもらった人から新たに賃貸借契約を結ぶことで、そのまま住み続ける方法もあるので、依頼する弁護士に詳細を聞いてみましょう。

 

2-3.個人再生は住宅ローンを除いて債務整理をすることが可能

個人再生は、裁判所に申し立てをして、すべての債権者について申告した上で、債務を減らしてもらって分割して弁済する手続きをいいます。

この個人再生では、住宅資金特別条項を利用すると、住宅ローンは手続きから外して債務整理をすることが可能となります。

住宅ローンを従来通り支払いながら、その他の債務を減らしてもらうことができるので、住宅ローン債権者も抵当権の行使は行わず、そのまま住み続けることができます。

 

2-4.債務整理をしながら自宅に住み続けるためには早めに相談する

以上のように、自己破産を利用しなければ、住宅には住み続けることが可能です。

どの手続きが適しているかは、債務がいくらあるのか、どの程度返済が可能なのかといったことを総合的に判断して決めることになりますが、相談が遅れて手遅れの状態に近ければ近いほど、住宅を維持するのが難しくなります。

特に住宅ローンの支払いが遅れると、住宅を維持するための最も有効な手段である個人再生を利用しても住宅を維持できなくなります。

借金の返済が厳しい場合で、住宅を維持したいのであれば、早めに債務整理の相談を弁護士にすることが重要であると言えます。

 

3.債務整理後に住宅ローンを組むこと

「債務整理をすると住宅ローンが組めなくなる」という情報を見ることがあります。

確かに一定期間は住宅ローンを組めないのですが、その理屈と、再度住宅ローンを組む際の注意点についてお伝えします。

 

3-1.債務整理後に住宅ローンが組めないブラックリストとは

債務整理をすると「ブラックリストに載る」とされ借り入れ・クレジットカードをつくることができません。

これは、債務整理をした事実が信用情報機関に登録されており、審査にあたって信用情報を確認する行為がすべてできなくなることが原因です。

住宅ローンの借り入れの審査をする際には、金融機関が信用情報の調査をして、債務整理をしているという事実を確認すれば融資を行いません。

ただ、このブラックリストも永遠ではなく、長くても10年で消えることになります。

 

3-2.ブラックリストから削除されても住宅ローンが借りられるかは別

では10年経過すれば確実に住宅ローンは借りられるのでしょうか。

住宅ローンは長期間にわたって返済をするものであり、慎重な審査がされます。

頭金の有無、収入や雇用形態・就業年数など、家族構成など様々な要素があり、ブラックリストかどうかだけで決まるものではありません。

ブラックリストから削除がされても、ブラックリストが原因で、審査で断られることがなくなるだけですので、しっかり頭金を貯める・収入を増やすなど審査の際に有利になる事情をしっかり作ることが必要です。

 

3-3.クレジットヒストリーを作るほうが審査は通りやすい

ブラックリストから削除がされると、信用情報がまっさらの状態になります。

しかし、スーパーや百貨店・家電量販店などでポイントカードをつくる際には、一般的に生活をしていれば何かしらのクレジットカードを作っているのが通常で、信用情報がまっさらという状態(スーパーホワイトとも言われます)は、債務整理をしたことがあると考えてしまう人もいます。

そのため、ブラックリストから削除されてからいきなり住宅ローンの申し込みをすると断られてしまう可能性があります。

そのため、信用情報にクレジットカードを使った履歴などのクレジットヒストリー(通称:クレヒス)というものをつくりましょう。

たとえば、スーパーや百貨店のクレジットカードを作る・スマートフォンの新しい機種の購入を分割で行うといった生活に身近なものから利用すると、信用情報がまっさらなスーパーホワイトという状態から、利用履歴が残った状態(クレヒスができる)になります。

こうして、信用情報上もきちんと順調な返済を行っていることが確認されれば、住宅ローンの審査が通り易くなります。

 

4.まとめ

このページでは債務整理と住宅ローンの関係についてお伝えしてきました。

住宅ローンで買った自宅を守る場合には、早めに債務整理の専門家に相談をするようにしましょう。