過払い金手数料の相場はどんなものなのか?他社事例などを基に比較分析してみた
過払い金返還請求の委託には手数料がかかる、その相場は?
かつて貸金業者から利息制限法を越えた高い金利で借りていた方は、過払い金の返還請求を行うことができます。
しかし、過払い金の算出にはかなりの労力が必要になり、さらに貸金業者との返還請求の交渉は厳しく、自分自身でおこなうことはかなり難しいと言えます。そのため、多くの方は法律事務所などの専門家に過払い金返還請求を委託しています。
いつごろどこの貸金業者から借りたのかがわかれば、専門家に依頼することで難しい過払い金の計算も交渉もせずにすみ、一定範囲の返還金が戻ってきます。
しかし、この専門家に委託して過払い金返還請求を行う場合には、委託手数料が必要になります。
すなわち、過払い金返還請求には長い期間を委託することによって、返還金から手数料が差し引かれて戻ってくるため、手元に戻るお金は思ったより少なかったということがよく起こります。そのため、法律事務所とのトラブルも起こることがあるのです。
そこで、この過払い金返還請求の委託手数料についてどの程度必要になるのかを知った上で委託をする必要があります。
過払い金返還請求における委託手数料にはどのようなものがあるのか
過払い金返還請求を委託した場合には、次のような手数料がかかってきます。
- 過払い金調査の手数料
- 過払い金の返還交渉の手数料
- 交渉がこじれた場合の訴訟費用
などになります。
過払い金調査は、依頼者の借入先貸金業者から取引履歴と、同じ業者から過払い金計算をしたものを取り寄せ、それが正しいものかどうかを専門家の目で検証する業務です。
また、過払い金の確認ができれば、貸金業者に対して請求をおこなって返還交渉をおこないます。貸金業者も千差万別で、利益的に苦しいため、返還率をかなり下げないと業者やすぐに高い返還率で妥結できるところもあります。
そして、相手の貸金業者の対応次第では訴訟にいかざるを得ない場合もあります。専門家の法律事務所では貸金業者によって対応を決めている場合もあります。また、返済が長期の延滞をしていたりした場合には貸金業者側が訴訟に持ち込む場合もあるのです。
訴訟になった場合には、通常の手数料以外に訴訟費用や実費がかかってきてしまいます。
相談、初期調査が無料の場合もある
最近の法律事務所などの広告では、過払い金の調査費用が無料にしている例もありますが、それは貸金業者から借入、返済記録(取引履歴)や過払い金計算は行われるため、無料になっているケースが多くなっているのです。
これらの委託費用は、法律事務所などによって違っています。作業ごとに費用を計算するケースや、戻ってきた返還金に対して何パーセントという形で成功報酬として請求されるケースなどがあるのです。成功報酬型の場合には、20%~25%程度になっているケースが多いようです。
ただ、訴訟になれば、通常の委託費用とは別に請求されることが多いので注意をする必要があります。
過払い金返還請求の委託手数料の相場と注意点
法律事務所によって委託手数料の請求基準は違っているため、一概には言えませんが、通常、訴訟なしの場合の相場としては、貸金業者1社あたり最低でも10万円程度しているようです。
相談だけの場合は無料や過払い金の見積もりは無料というケースもあり、最初はそのような法律事務所に相談してから、実際の委託する事務所を検討するようにするのがよいでしょう。
いくつかの法律事務所から手数料の見積もりをとる
各法律事務所で委託費用は違ってくるため、簡単に委託するよりもいくつかの法律事務所から合見積もりをとって安い法律事務所を選ぶのがよいでしょう。
無料で借入先別で過払い金の見込み額がわかれば、成功報酬を適用している事務所などはおおよその費用見積もりが出ます。また、作業ごとの費用の場合も、取引履歴がわかれば見積もることが可能だからです。
また、大手消費者金融との交渉が多い事務所では、過払い金に対する実際の返還率もたいてい決まっており、その返還率によって費用見積もりが可能になっているのです。
また、訴訟が必要な貸金業者の場合には、最初から訴訟費用を提示してくる場合もあり、一見高く見える場合もあります。ただ、そのような場合には貸金業者が訴訟に持っていく傾向があることを知っているためで、それを見込めない法律事務所よりは信頼できると言えるでしょう。
見積もり通りにお金が返ってくるとは限らない
ただし、見積もりをとったとしても、予定通りの費用ですまない場合もよく見かれられますし、過払い金返還率が低くなってしまう場合もあります。すなわち、交渉がこじれることを想定できないため長引き、訴訟になるなどした場合には訴訟費用が上乗せされるため、多額の訴訟費用を請求されることになってしまい、返還率も低くなるケースも生まれます。
そのため、過払い金の見込み額が大きくない場合にはほとんど戻ってこないということになりかねないため、訴訟には簡単に合意しないようにした方がよいでしょう。
また、注意しないといけないのは、たいていは手数料は明示せず、回収金を手数料を差し引いた金額で表示して、手数料がかかっていないように見せる場合があることです。例えば、過払い金見込み額に対して実際には70%の返還率であっても、実際には50%になっている形になる場合もあるのです。
いずれにしても、過払い金交渉が長引いている場合には、返還率が低くても早めに妥協してもらったほうが結果的には手元に戻ってくる金額が大きくなる可能性が高いと言えるでしょう。
過払い金返還請求委託手数料の事例
過払い金返還請求を中心に行なっている法律事務所では、インターネットなどで実際の返還された事例で費用なども掲載しています。その中から2つほどご紹介しましょう。
ただし、事例として紹介しているのは、理想的に解決できたものであり、しかも返還金額も満額など、多額のものになっているケースが多いので、額面通りに自分も一定の費用で取り戻せると思わないほうがよいと言えるでしょう。
事例1
過払い金の見込み額が80万円のケースで、任意交渉による解決で交渉した結果、満額の80万円の回収に成功したが、実際に手元に戻ってきたのは、20%の成功報酬を差し引かれ、63万円弱しかなかった。
この場合の委託費用は、20%+消費税で17万円以上になっています。しかし、このように満額取れることは珍しく、実際にはもっと低い金額で解決してそこから20%+消費税の手数料になる場合が多いです。
事例2
過払い金返還の見込み額が100万円だったが、交渉がうまくいかず訴訟になった結果、訴訟実費が20万円が余分にかかり、25%の成功報酬と合わせて45%かかってしまい、手元に戻ってきたのは消費税もかかって約半分の50万円だった。
過払い金返還請求の委託手数料のまとめ
過払い金返還請求を行うには、過払い金の計算や実際の交渉が非常に難しいために、法律事務所の専門家と委託契約をして取り戻すケースが多いと言えます。
委託手数料は、法律事務所によって差があるため、まず、無料の相談をした後に、複数の法律事務所から見積もりをとって契約するのがよいでしょう。
また、実際の過払い金返還見込み額がそのまま満額で戻ってくることは珍しく、訴訟などもおこなわれると手数料だけでなく、訴訟費用も差し引かれるため、手元に戻ってくる金額はかなり低くなることを覚悟しておいた方がよいです。